小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

ジブリの世界で~いつも心おどる夢をみたい~

昨夜は、スカイプ
”メリークリスマス!”

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22年前、初めて北欧でクリスマスを過ごしたことがある。近くの森の、雪の中の良さそうなモミの木を選んで、娘夫婦とその両親、私たちの6人で運んだ。ツリーの周りには私たちからの、家族からの、いくつものプレゼントが並べられ、クリスマス料理を楽しんだ。トントン…はて、こんな夜にどなたでしょ?ドアを開けると、大きな袋を手に、ほんものの長いひげを生やしたサンタさん。日本語がOKのスペシャルライセンスサンタさんを囲んでファンタジックな夜でした。

6年前にもクリスマス前後の二週間を過ごしたことがある。
お菓子を焼いたり、料理を手伝ったり、クリスマスを迎える準備は楽しかった。孫娘のヴァイオリン演奏、娘のピアノ伴奏で心に残る夜だった。-30℃の体験、凍結した湖面に穴を開けての魚釣り、本場のサウナ、スキーやソリ滑り、室内でのトランプや日替わりのボードゲームも面白かった。神秘的なオーロラの光景と共に、それら一つひとつが、懐かしく、昨日のことのように鮮やかに浮かぶ。

娘たちのお薦めのジブリ映画を観たのも忘れられない思い出のひとつ。
風の谷のナウシカ魔女の宅急便紅の豚平成狸合戦ぽんぽこ千と千尋の神隠しハウルの動く城借りぐらしのアリエッティ、、、日本では興味がなかったのに、北欧で親しくなったジブリの世界でした。


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実は、二週間前、シグナス文化会館で《ファミリーコンサート~オーケストラで聴くジブリ音楽~》がありました。

ただただ、その歌声が聴きたいばかりに
友人を誘って、二列目の真ん中をゲットして!!
耳を澄ませ~みつめた~木村弓さん

♪いつも何度でも♪ (千と千尋の神隠し

小さな「ライアー」を手に、
楚々として、はかなげで、凛として、伸びやかで

―ほんとうは「煙突描きの~」という作品のために作ったのです

静かにほほえむ弓さん。
私はすっかり木村弓さんファンです。

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”曲もいい上に歌詞がまた胸を打つ。木村さんの声が沁みてくる”

もとはといえば、Z氏の言葉から。
この賛辞に導かれ、YouTubeで聴いて納得したのです。
それから間もなく、「宝くじ文化公演」の割安チケットで、
まさかのライブとはなんという幸運でしょう。
サイン入りのCDは、孫娘へのプレゼントにいたしましょ。

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楽しいコンサートでした。

「君をのせて」(天空の城ラピュタ)、「となりのトトロ」は井上あずみさん。金沢のご出身だと初めて知りました。「カントリーロード」(耳をすませば)、「風の谷のナウシカ」を歌ったのは島本須美さん。本名陽子さんがコロナ感染のハプニングで、代役で出演されたそうですが、トークで本領を発揮されていました。会場には、家族連れが多かったのですけれど、だれもがN響団友オーケストラの演奏をたのしんでいてとても心地よい午後のひとときでした。

 



 

 

 

四回目の図書館見学~わくわくバスツアー

外は猛吹雪、ガラス窓は凍てついた雪が貼りついて真っ白です。
風雪、雷注意報に続き、大雪警報も出ています。
停電している地域もあるらしい。
昨日のうちにさしあたっての買い物をすませひと安心です。

一昨日は県立図書館見学バスツアー。
津幡の図書館に集合して、中型バスで20人。
片道30分弱の短距離ツアーでした。

私はこれまでに三回。
一回目は、元県立図書館長の表さんご夫妻に誘われて
二回目は、置き忘れたメガネを受けとりに友人と
三回目は、北欧から来日した娘たち夫婦を案内

新カードで本も借り、遠隔地返却も完了。
もうこれで充分なのですけれど
個人では気づけないお話が聞けるかもと
期待感、好奇心で参加した見学会でした。

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入り口すぐの「だんだん広場」でスクリーンを見ながら、30分ほどの説明がありました。

◇明治45年兼六園内に開館、昭和41年本多町に移転した旧図書館の「古い、狭い」の証明写真に胸うたれたのは私だけでしょうか。所蔵している本の約1割しか閲覧スペースに置けなかったそうです。あの本を、こんな本を、と相談すると、司書さんたちがどこからか集めてきて、魔法のように目の前に積んでくださった。駐車場は32台分。運転未熟な私はいつも守衛さんのお世話になったことが蘇りました。(その4階の社教センターの日本語講師でした)

その約3倍の広さの新図書館は駐車台数400台、地上4階、地下1階。これまで私はなんどとなく迷ってぐるぐる駆け回りましたが、天井、床、家具、サインも方位ごとに色分けされ、どこにいるのかわかりやすくなっているそうです。

◇コンセプトは《思いも寄らない一冊との出会いを提供する》
円形の本棚の約7万冊の本は従来の分類によらず、身近な12のテーマ(仕事を考える、暮らしを広げる、好奇心を抱く、生き方を学ぶ、、、など)で図書館に慣れていない人にもわかりやすく並べられているそうで、「ウインドウショッピング」の感覚で楽しんでほしいとのこと。従来の図書館利用者も置き去りにしない、ビギナーにもマスターにも、どちらにもうれしい、、、との配慮から、分類順の棚も用意されています。たしかに、求める資料を的確に見つけるには、従来の並べ方のほうが使い勝手がいいのです。

◇「こぼれ話」によると、司書さん考案の手書きの絵がプロの手で図面化され、子どもから車いす利用者まで誰もが使いやすい斜めのタッチパネル方式の家具が製作されたとのこと。

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☆さて、その後はのんびり自由時間。友人におつきあいしてまず「カフェハムアンドゴー」へ。コクのある極上の特製プリンは450円~!ふと庭を眺めると、包帯でぐるぐる巻きの太い古木が見えました。なにかいわれのある樹木なのでしょうねぇ、と三人で確かめに行くと、標識には、金大工学部の正門にあった「ソメイヨシノ」を移植したとありました。細い枝が芽吹いています。思い出が詰まった桜なのですね。

☆「十二文豪図書館ニ降臨ス〜EPISODES with 文豪とアルケミスト〜」の企画展では、文豪署名入りの本や直筆原稿などがありました。《鏡花と秋聲、二人は不仲だったのか?》のフレーズには思わず足を止めました。

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実は、前回、娘たちと来たとき
洗面所で発見!した標識がありました。

三四郎が驚いたのは、どんな本を借りても、
きっと誰かが一度は眼を通していると云う事実を
発見した時であった。 夏目漱石三四郎』〉

図書館ならではの遊び心満点の企画です。
男性トイレにはあったのかなかったのか。
夫は気づかなかったと言います。

「相棒」の右京さんよろしく
私も小さなことがやたら気になって
この機会にと、レファレンスしたところ
事務所の方がとても詳細に教えてくださいました。

著作権を侵害しない古い作品群から
司書さんたちが選んだというフレーズ一覧には
三木清宮沢賢治室生犀星泉鏡花の一節、
中原中也八木重吉の詩もありました。

〈なにもなにもちひさきものはみなうつくし 清少納言枕草子』〉
これは授乳室の標識です。

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午後の3時間ほどのお出かけでした。
図書館員のTさんがガイドさん。
小さな図書館での9年と一ヵ月を共に過ごした若い人です。
その間に司書資格をとった彼女が
しっかりマイクを握っているのを見るのは
なんとも感慨深いことでした。

最初にご挨拶された生涯学習課の方は
はて?どこかでお目にかかったような…

帰りのバスで席が近くになって
「研修で、初めてお会いしましたね」の言葉で、
あ、F先生~~!
昔の記憶が一瞬にして蘇りました。

26年も前のことです。
一泊二日の県内の新図書館長、社会主事の研修で
一緒に学んだ仲間のおひとりでした。

県立図書館でも懐かしい人たちに会えました。
旧図書館で知りあった若い人たち
変わらず元気にがんばっていて
あれこれ手助けしてくれました。

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その昔、
こうしてバス(町のバスなので無料!)をチャーターして
巨樹めぐり、蛍の夕べ、町を知ろう、、、
町外のプラネタリウム、絵本館、菊の展覧会、、、
あっちこっちと訪ねました。
当時、図書館のバス利用が一番多かったそうです。
バスの中では、いつも、絵本クラブのメンバーが
わらべうたやら手遊びやらと大活躍したことも思い出されます。

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膝が気になりながらも、積極的に動くきもちになれるのは
なんといってもこのブログを始めたおかげと思います。



 

 

かっこいい!17歳~川崎レナさん~

今日の中日新聞の「この人」欄に
《日本人初「国際子ども平和賞」受賞》の川崎レナさん。
「人権や環境問題に取り組む国際非政府組織(NGO)「アース・ガーディアンズ」日本支部代表として、若者の政治参加を促すなどの活動」が評価されたとある。


真っ赤な振り袖姿の少女、川崎レナさん(17歳)。
1ヵ月ほど前、偶然、その授賞式の映像を見て心躍った。
オランダの人権団体が、毎年、子どもの権利向上に貢献した若者に贈る賞。
過去の受賞者には、ノーベル平和賞を受けたマララ・ユスフザイさん、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんもいる。

活動のきっかけは、8才の時に読んだ一冊の本。
使われなくなった日本のランドセルをアフガニスタンに届ける活動を紹介した『ランドセルは海を越えて』(写真・文 内堀タケシ/ポプラ社
世界には教育を受けられない子どもがいることを知って活動を始めたそうな。

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ネットに受賞スピーチがあった。

「私がこの活動を始めたきっかけは“悔しさ”。変わりそうにない日本、自分の生まれた国に誇りを持てないことに、とてつもない悔しさを感じた。差別発言、議会中の居眠りなどを繰り返す様子が日々放送されている。しかし、39歳の市長が居眠りする議員に向かい『恥を知れ』と叫んだとき、日本はまだ変われる。私はそう思うことができた」

「10代だからこそできることがあるのではないか。変なアイデアを言っても『高校生が言っているから、もしかしたら面白いかもしれないよね』と考えてもらえる。逆にその機会を利用する」

「政治をワクワクして見られないことが問題だ。見ている私たちもそうだし、多分座っている政治家たちもワクワクしないから居眠りしてしまうんだと思う。もしかしたら私たちの時代で日本の政治は『ワクワクする』『楽しい』に変えられるかもしれない。それには、“自分が何かを変えられる”という自信が必要だ。その自信を作るために身近な地元の政治家など、小さなところから自信を作っていかないといけない」

***

「子どもたちが安心して発言し、行動できる。
そんな環境をつくるのは大人の役割だ」

こうして意見が言えているのは、
自分には子ども扱いせず、人として信じて接してくれた両親、
いま通っているインターナショナルスクールの教育のおかげだという。

黒柳徹子さんのニューヨークでの颯爽とした振り袖姿に憧れ、
髪型も徹子さん風にカットして、
堂々とスピーチしたレナさんだった。


相変わらず「政治とカネ」の不祥事が続く。

「政治家になる前にかっこいい大人になってください」
のレナさんの声は切実だ。



 

「ザ・ベストテレビ2022」~メディアのちから~

「ザ・ベストテレビ2022」全6回が終わりました。
日本社会のさまざまな問題が浮き彫りになる
見応えのあるドキュメンタリーでした。

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NHK「”玉砕”の島を生きて~テニアン島日本人移民の記録~」

極限の悲惨な戦地で必死に生き抜いた移民たちの貴重な証言記録です。

戦争は必ず悲劇を生む。

戦争の闇は果てしなく、噤まれていた悲しみの記憶は、
私たちの想像を絶するものでした。
ディレクターの太田直子さんが、寄り添い、心を通わせ、
聴きつづける中で、時が流れ、
深い傷が少しずつほどけていきました。

***

テレビ西日本の「すくえた命~大宰府主婦暴行死事件~」

局をあげての渾身の取材の中から、真実が次々に明らかにされる。
市民は誰に助けを求めればよいのか
安全を守ってくれるのは
地元警察でも、県警でも、公安委員会でも、県議会でもなかった。

悲痛な声を受けとめるはずの組織は全く機能しない。
ずさんな捜査と組織ぐるみの隠蔽体質、、、
当時の会議のメモは全て廃棄したという委員会。
検証が不可能な状態の中で
粘り強く追及したメディアの力が唯一の良心でした。

***

メディアの役割とは
過去の問題を忘れさせない、今の問題を見つめ、これからに備える…
コメンテーターのおひとり、ヴァージル・ホーキンスさんの言葉に頷きます。


そして、公平、公正な、信頼できるメディアを守り、育てるのは
私たち市民なのだとあらためて思うのです。

 



 

図書館界の偉大な先覚者「中田邦造」の生涯を想う

ブログを見た友人から《ほっとメール》が届きました。

「私は膝は若いうちから関節炎を何度も起こしていたのですが、10年前に比叡山延暦寺に行ってきて次の日に歩けなくなった経験があります。半月板の損傷と判断されましたが、10年間、なんとか、温存しています。冷やさないようにしています。正座はしない。無理に運動しない。へなちょこの私です。おだいじにしてください。ゆっくり休んでください。”知恵泉”観ました。図書館の力すごいです」

はい、まさしく、若い彼女の言うとおりですねぇ。

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知恵泉~救え!わが町の文化財 40万冊の本と鐘」の感動を共有できたのも嬉しい!!

40万冊もの重要図書を疎開し、貴重な文化財を戦火から守り抜いたのは、当時の日比谷図書館中田邦造
かつて石川県立図書館長だったことはなんと誇らしいことでしょう。

石川県の読書会の礎を築いた方として有名な館長です。
児童図書研究会の発足、貸出文庫、読書学級、青少年文庫の設置など熱心に読書会活動に取り組み、県内各地に読書会が誕生したのでした。

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『読書会とともに 第7号』(石川県読書会連絡協議会 代表:梶井重雄/1997年)は「中田邦造生誕百年特集号」。
《巻頭言》、《中田邦造先生の語録》、《図書館界の偉大な先覚者中田邦造について》で、中田門下生であった梶井先生が詳細に紹介されています。

◇はじめの二年間は石川県主事として、31歳から44歳(1940年)までの13年間は石川県立図書館長として、その炯眼をもって辣腕をふるったのであった。まず、氏は県下に図書館網をひく、全県下に小学校を単位に、小学校長を分館長に、訓導を司書に委嘱するという形をとる。この県下の図書館網を活用して県立図書館の活動が開始される。

◇13年間に、全国的規模とも言える展覧会(幼児図書展覧会、西洋文化移入に関する図書展覧会、本邦地理に関する古書展覧会、万葉展覧会、俳諧古書展覧会…など)を16回行った。

中田邦造を内からゆり動かしたものは、一つには農村民の心の自覚であり、一つには、これから農村をゆり動かして、新しい創造に向かわしめる英知はいかにして養われるかの二点であった。片手に図書を片手に農具をとの氏の口ぐせは、高い理想によって裏打ちされているのであった。

日比谷図書館の重要資料、加賀文庫等の郷土資料を疎開。また予算200万円を獲得して、井上哲次郎博士、、、等、四十数氏の図書群、約30万冊を買いあげ、疎開、戦火より保護した」ことも記述されていたのですが、うかつにも、私はテレビで初めてその意義を知ることになりました。

***

長女の中田直美さん、次女の宮川素美さんの「父の思い出」も掲載されています。

◇仕事熱心で帰宅は遅く、夕食は一緒にできない日が多かった、
とてもやさしく穏やかで、「そうかそうか」が口癖だった、
休みの時は庭の木や花々の世話、物識りで、器用で、
左右両手が自在で、自分で何でも修繕するほどだった、
エスペラント語のレコードを持ったり、興味の範囲が広かった。

◇空襲の翌朝、心配だからと電車が止まったのに
自宅から日比谷まで、片道三時間を歩いて往復。
焼け野原の悲惨な光景を見ながら歩いたと言っていた。
京大の頃はボートの選手で体格も良く、健康だった父だったが、、、

「多難な社会変革で、第一線での管理者としても、全て価値観も、意識も、手法もみんな変わった時期でしたし、個人的には定年の時期でもあり、父にとっても、かなり激しい転換期であったようで、がんじょうだった体も終戦前後の心身の苦労も加わってか胃潰瘍になり、結局完治することなくその後胃ガンとなり…」

59歳の若さでこの世を去られたその無念さを想います。
既にコンピューターのデータベースのアイディアに着眼していたという中田邦造氏。
最新システムの新県立図書館を俯瞰し、おおいに愉快がられているやもしれません。

 

 



ちょっとテニスをお休みして…

今日は十五夜、静かな満月です。
寒月、コールドムーンと呼ぶらしいですね。

***

先日、久々に夢を見ました。
不思議にもはっきり覚えている夢。

町のとある駐車場で、車を停めようとするけれど
気に入った場所がなかなか見つからない。
ぐるぐるぐるぐる探し回って、
ようやく適当なスペースに駐車して
夫を呼びに行って戻ってくると…
なんと、愛車が消えている。

夫の友人たちも手分けして探してくれる。
車のナンバーは418…あ、それは夫のだ。
私のは…?あせるけれど思い出せない。
でも、ムーヴ!
色はね、薄いブルー…ん?

それは、前のヴィッツの色だよ。
だれかの声ではっとして、
夢だったかとほっとして、
もしや?!と期待して目覚めたけれど…
あ~右膝は痛いまま、つっぱったまま。
やっぱりね~。

~☆~☆~☆~

実は、10月23日、もうぎりぎりの歳だと無謀にも
町のシングルステニス大会に出たのです。
高専生やフレッシュジュニアと試合をして
完敗でしたがいい記念になりました。
でも、そのあたりから危ないぞ~と
うすうす感じ始めてはいたのです。

11月の初めに格好つけて、無理に正座をしたら
その翌日、激痛におそわれ歩くこともままならず、
サポーターやコルセットで補強したり
念入りにマッサージをしたり
膝や脚が喜びそうな手当をしてあげて…

娘たち夫婦が来日した頃には痛みは少し和らいで、
左脚を僅か引きずりながらも
広い県立図書館を隅々まで巡り、
紅葉の樹木公園を散策できました。

娘たちが帰国して、
友人たちからテニスのお誘いがあるけれど
いまだ回復半ばの状態で、
録りためたビデオを見たり、本を読んだりして、
ゆっくり時間を過ごしています。

***

こんな番組です。

NHK特集「輝け命の日々よ」

・星の子アルフェ(世界こどもの日セレクション2013)

・プロフェッショナル土木技術者・山口宇玄~ロープ一本で、世界の平和を守る~

ハートネットTV 第90回 全国盲学校弁論大会

ハートネットTV 私たちはケアリムーバー~施設や里親のもとを離れて~

BS1スペシャル「カミングアウトの”向こう側”」

NHKスペシャル「キラキラムチュー~発達障害と生きる~」

・ぼくたち、弁護士〝夫夫”です。

知恵泉「救え!わが町の文化財 40万冊の本と鐘」

日曜美術館安藤忠雄~魂の建築」

ワイルドライフ「アラスカ悠久の自然 星野道夫が見たトナカイ大集結」

発せられる言葉が心を捉える。心を揺さぶる。
感動する、共鳴する番組たちでした。

『輝け我が命の日々よーガンを』(西川喜作/1982/新潮社)
『「死の医学」への序章』(柳田邦男/1986/)新潮社
さっそく図書館で借りて読んでいます。

***

火曜日からからBS1で「ザ・ベストテレビ2022」が始まっています。
一日目は、NHK名古屋放送局「妹が生まれなかったかも知れない世界~出生前診断と向き合って」、静岡放送の「おひさま家族~りんくん一家の17年~」でした。
二日目は、岡山放送の「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの~」
そして今日は、テレビ岩手の「たゆたえども沈まず」。

ひとつひとつの映像が大切なことは何かと問いかけ、生きることの意味について迫ります。明日は9時から。

 

 

 

 

絵本『ぼく』と詩集『ぼくは12歳』

名編集者である松居直さんの絵本編集には、
基本方針が二つあるそうです。

⁂絵本は子どもに読ませる本ではない。大人が子どもに読んでやる本である。
⁂役に立つ、ためになるだけの本は作らない。

もっとも大切なことは読み手と聴き手が”共に居る”こと。
読んでもらうことは、子どもにとって至福の絵本体験なにだと、
「読みきかせ」の意義について語っていらっしゃいました。

***

ところで、絵本とは何か?
あらためて考えさせられた絵本があります。

それは、『ぼく』(谷川俊太郎/合田里美/2022.1/岩崎書店

2月12日のETV特集で知り、すぐに図書館にリクエストした本です。
テーマは子どもの自死
編集者、作者、イラストレーターが、
慎重にやりとりを重ねてできあがっていった絵本です。

谷川さんは「こんなに話し合って作る絵本は珍しい。初めて。
新鮮でありがたかった。細かいところまで、二次元で考えれば、
普通の俗世間では子どもの自死はたいへんよくないこと―
そうじゃない別の見方がこの絵本ででてくること

どうにかこの絵本で表現できたらいいなと思っていたから
それをテキストだけで限界があるんです
どうしても
だけど絵があると、そこが伝えられるというのは
すごく絵本のつよみ!!」と語っていらっしゃる。

また、読者に伝えたいメッセージは?

「一般的な読者に対していうことはできない
もし今死にたいと思っている子が
目の前にいて、こっちに話しかけてきたら
なんか言うことはあると思うけど
ひとりひとり全然違う人間関係をもっている
子どもたちに、一般的にメッセージっていうのは
言えないと思いますね。
今、意味偏重の世の中、だれでも、何にでも、
意味を見つけたがる、意味を探したがる
意味よりも大事なものは、
何か存在するってこと、何かあるってこと。
存在っていうことを言葉を介さないで感じとるってことが
すごくだいじなことと思う。

生きている上で、意味づけないでじっと見つめるとか
我慢するとかあるんだけど、
みんなそんなことはしなくなっているんですよ。
意味を見つけたら満足しちゃう。
そうじゃないものを作りたいとは思っていますけど。」

90歳の谷川さんの言葉は深くて、、、

***

『ぼく』を開いていると、
『ぼくは12歳』の岡真史くんと重なります。
47年前の夏の夜、大空に自ら身を投じて命を絶った少年。

まるで『星の王子さま』の王子さまのようだった、
不思議な子だったと、母、百合子さんは書いています。

「私は、今でも息子の夢をよく見ます。夢の中で、息子はいつも、あの長いまつげの下の目で、少しはにかんだように笑っています。ああよかった、まだ生きていたんだ、と私はすごく嬉しくなり、今度は失敗しないぞ、と力一杯彼を抱きしめます。マーすけ、いったいどうしたの?どうして死んじゃったの?何がそんなに辛かったの?パパにもママにも言えなかったの?矢つぎ早に問いかけながら、私は息子を抱きしめます。息子が死んでから、私が一番たまらないのは、母親の抱きしめ方が足りなかったのではないか、と思う時です。…」

『ぼく』は、なぜ?と問い続ける母の涙に寄り添い、
抱きしめてくれる絵本のように思えます。

 

~☆~☆~☆~

ぼくは しんだ


じぶんで しんだ
ひとりで しんだ


こわくなかった
いたくなかった

… 

~☆~☆~☆~

4月の「詩をたのしむ」読書会で、
一頁ずつ、順に読んで、話し合いました。

少年〈ぼく〉のつぶやきに違和感がある
透明感のある絵が美しすぎる
「生」と「死」の境界が見えない
試そうかなと思うぐらい、軽い
死に誘われそう
大丈夫だろうか
なんのための絵本

誰もが危うさを感じました。
出版社も慎重を期したからでしょうか、
「死なないでください」
と呼びかける編集部からの異例のあとがきが付されています。

***

『ぼく』について考えをめぐらしながら
9ヵ月過ぎました。考えさせられる本でした。

図書館では『ぼく』の居場所を考慮する必要がありそうです。
絵本だから【E】コーナーと、機械的、便宜的に、
『ぼくはねんちょうさん』『ぼくはなきむし』『ぼくは…』
といった「ぼく」と隣り合わせにする本ではなさそうです。

どのコーナーが適しているでしょうか。
生きる、いのちを考える、生と死、、、
図書館員の深慮が求められるところです。

(E以外の別置記号が必要な絵本は他にもあるかもしれません)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。