小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

コロボックルの物語

NHKの「新日本風土記」は好きな番組の一つです。
昨日は「妖怪の国 精霊の森」。
人気のアマビエや座敷わらし、、、日本各地に残る妖怪や精霊の目撃談でした。

阿寒湖のほとりのアイヌコタンで民芸品の木彫りを生業としていらっしゃる秋辺日出男さん。40年、秋辺さんが作り続けているのは、祖母が子どもの頃見たという三角帽子をかぶった小さなコロポックル

アイヌの言葉で《蕗の下にいる小さい人》。気が優しくて、獲物や食料をアイヌの家にそっと置いていく。蕗はアイヌの人にとって大切な植物、食料や薬になり、葉は器になり、日差しや雨風をよける帽子にもなる。

山や森に泊まるときは、柳の枝と山ぶどうの蔓で小さな三角小屋を組み立てて、蕗の葉ですっぽり覆って…再現したクチャと呼ばれる仮小屋に座る大きな秋辺さんが、まるでコロポックルに見えてくる。

コロポックル!コロボックル!

なんという偶然でしょう。
実は、ちょうど読み終えたのは、有川浩さんの『だれもが知ってる小さな国』(講談社)。あの『図書館戦争』シリーズと共に届いた、モモリンさんお気に入りの一冊。

50年にわたって愛され、読み継がれてきた、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』、コロボックルのファンタジーの世界へ、有川さんが心をこめて道案内。

「…コロボックル物語は、絶版して昔の本になってしまってはいけない。
新しい時代の子供たちに、常に届け続けるべき本だ。目には見えない、小さいものを愛する優しさを、楽しく教えてくれる。小さいものを愛することを知った子供たちは、きっと優しい大人になる。…」と。

86歳の佐藤さんが、亡くなられる2年前の2015年、最後のページに書いた《有川浩さんへの手紙》には、

「…こういう形で物語を継承してくれる、という例は、あまり知りません。
小生としては大変名誉なことと考えています。すごい人を見つけてよかったな、
というのは、コロポックルたちの言葉です。佐藤さとるが替りに言っておきます。…」

かつて、わが子たちも出逢った、だれもが知ってる佐藤さんのコロボックル物語
今の子どもたち、大人たちに、私も手渡したい。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。