小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

「山の家~昭和の音と映像の資料館」

山崎久雄先生が送ってくださったDVDは5枚。

昭和20年代の音の再現や、50年前の小学校の音楽祭の記録。
10年前に、「山の家~昭和の音と映像の資料館」で『彼女とその機械』を撮影したオランダ人写真家が来訪。その写真集を発刊し世界に配布したという。
5年前、21世紀美術館で『誰が世界を翻訳するか』をもとに開催する「去りし者への唄」の演出のために、イギリス人夫妻が《山の家》を訪問、イベント用の蓄音機やラジオなどさまざまな道具を借りに来た時の映像。
日本のどこへ行っても心を動かされなかった外国のアーティストたちが、《山の家》の古き道具たちに出会って深く感動し、心惹かれたそうな。
2年前に放映の石川テレビ開局50周年記念DVDには、《山の家》、相窪小学校跡地で、60代、70代の教え子たちに囲まれ、シャイな!久雄、弥生先生ご夫妻の映像もあった。

ご夫妻が力を合わせて保存してこられた《山の家》は、昭和の音と映像の宝庫。

2000年年10月21日、図書館の「で・あ・い講座~町を知ろう」で、町のマイクロバスに乗って見学。2回目の講座は、2002年3月16日。図書館の記録『ひと言・人・こと』に、その日の報告が記してあります。

☆で・あ・い講座「町を知ろう」は相窪の山崎久雄さんの《山の家~昭和の音と映像の資料館》へ。今回で2回目の開催です。山崎さんの語る昭和史を辿りながら、懐かしいレコード、貴重なレコードを聴きました。今も往時の音と映像を耳にすることができる「命ある昭和の音と映像の生き証人」・・・キリコ会館館長の藤平朝雄さんが北国新聞「加越能さすらい人」(平成12年10月5日付)で感慨込めて紹介されたこの資料館は、たしかに「貴重な物と心が宿って」います。将来にわたって、大切に保存されるために、私たちにできること、するべきことを、みんなで考えてみませんか。
(今日の参加者約20名、国際交流員のアンドリューさんも参加しました。)

☆で・あ・い講座「町を知ろう」の感想が届いています。で・あ・い講座に何度か参加されている堀井洋さんから「・・・感無量でした。レコードをかけながら山崎さんのその時々の時代背景を思い出しての説明、良かったです・・・相窪と資料館と山崎さんのオーデオ機器に対する気持ちが、一体化しているように思いました・・・」

今回、初めて参加の小松衣子さんからは「・・・金沢から転居してきたので津幡の商店街以外ほとんど知りませんでしたので、相窪がどの位置にあり、どういう所かも知りませんでした。晴天に恵まれ、山間を車で入って行き、こんな山奥も津幡なのかと見とれていました。山崎様のお宅につき二度びっくり、むかし懐かしいおうちに入り、まず、いろり、間取り、天井、今から五、六十年前に私が見た母の里に行った時の思い出そのまんまでした。山崎様のお話をお聞きしながら、レコードを聴いて、懐かしさと同時に昔の哀愁など思い起こし、涙がにじんできました。本当に気持ちの良い時を過ごさせていただき、山崎様ご夫婦、図書館の皆様にお礼を申し上げます。また、立派な資料館を今後無にならない様に多くの人達に見聞してもらいたい・・・」

2004年、小さな図書館の最後の秋の読書週間には、第9代目の「一日館長」を引き受けてくださった山崎先生。「…今や、コンピューターの時代となり、きれいに修正されてしまう。真実ではない。確かなものは何か。古い本、ノート資料の大切さ。如何に将来に残すか、ふり返って、見直していくのは図書館の仕事であろう。…」
テープレコーダーやカセット式ビデオ、ベータ―、VHS、8mm、DVD、円盤、、、その日、先生が語られたお話の一部のメモ書きです。

後日、「一日館長を体験して」の文を寄せてくださいました。

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10月23日、一日図書館長を依頼され、億劫ながらも従事しました。仕事は本の貸出し、返本の受付、場所案内、整理、新本のコーティングや登録などの体験などですが、貸出し、返却、在庫案内はコンピューター処理で能率的に仕事を進めることができることがわかりました。表に見えない図書館の仕事と役割や苦労についても、改めて知ることができ、図書館職員の親切さ、機敏さに全く頭のさがる思いで付き合いさせて頂きました。予期しなかったことは情報化時代といいながらも、多くの人達が図書館を利用していることでした。読書意欲の旺盛さをまざまざと見ることができました。

図書館には本の貸出しの他に各種の催しとして、お話の会、体験学習や、本で知った動植物標本、手塩にかけた作品など、利用者から寄せられたものが展示され、そこに集う人達の出会いがありました。「図書館の役割は本を貸して知識を深めるだけでなく、感動を呼び覚まし、人と人のつながりを深め、心豊かになるように」と前田館長は語っておられました。

 

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。