小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

「エレキの楊」&「茨海狐小学校」

読書会「宮沢賢治を読むつどい」は7人の参加でした。
いつものように「星めぐりのうた」を歌って、『注文の多い料理店』の序文を
読んで、いつものように一頁ずつ順に朗読しました。
 

『鳥をとるやなぎ』は、ムクドリの群れが一ぺんに飛び立って、
波のように揺れた塊が、向こうの大きなやなぎの上まで行くと、
まるで磁石に吸い込まれたように一ぺんにその中に落ち込んでいく光景…
あれは鳥を吸い込む「エレキの木」!?!
ワクワクしながら「慶次郎」と「私」は見ていたのだけれど・・・
「けれど、どこかに、ほんたうの木はあるよ。」…

と私も思いたい一人です。


そして、『茨海(ばらうみ)小学校』
ほんとに愉快なお話でした。朗読する人も、聴く人も、
クスクス、ゲラゲラ、みんなでこらえきれずに笑ってしまいました。

農学校の教師の「私」が、狐のこどもたちの無邪気な「わな」に引っ掛かって、
野ばらできれいに仕切られた狐小学校で、校長先生の案内で授業参観した話です。
狐小学校は太陰暦なので、日曜日でしたが休日ではありませんでした。

  第一学年は修身と護身
  第二学年は狩猟術
  第三学年は食品化学

そして、午後の授業をすっかり参観した「私」は、
半日かかってようやく見つけた「火山弾」をつい寄付させられてしまいます。

  狐にだまされたのとはちがひます。…ちゃんと狐を狐に見たのです。狐を狐に
  見たのが若しだまされたものならば人を人に見るのも人にだまされたといふ訳…

人間と動物との境界線が消えて、不思議な余韻の中で、ふっと気がつくと師走。。。
はやいわねぇ、とてもそんな気がしないわねえ、また来年もよろしく~と、
コロナの年、「宮沢賢治を読むつどい」の最終日でした。

宮沢賢治のこれらのすばらしい作品は、ネットの【青空文庫】で読めます。
《最高の嘘は正直なり=正直は最良の方便なり》などの《修身》の格言などにも
どうぞ出逢ってくださいませ。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。