小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

図書館の写真家/漆原宏さんのこと

このブログの初回にお名前を書かせていただいた漆原さんの写真集。
『ぼくは、図書館がすき 漆原宏写真集』(日本図書館協会 2013/04)
『ぼくは、やっぱり図書館がすき 漆原宏写真集』( 同上 2017/04)

いい本です。ほっとする光景があります。
「私も、図書館がすき~!」と心の中で叫んでしまいます。

漆原さんは、6年前、第17回図書館サポートフォーラム賞を受賞されました。
授賞式での水谷長志 氏(表彰委員会委員長)の講評。         

 長年にわたる読書と図書館をめぐる漆原さんの写真は、
  「同時代と未来に向けて、
   ほかに代えがたい歴史的文化的遺産をもたらしている」

 …おそらくは20世紀後半から今日、そして近い将来までのスパンで、
 広く日本の図書館の風景を後世に伝えるものは、漆原氏の写真のほかには
 無いのではないでしょうか。…


小さな図書館を励まし、すてきなお仲間を紹介してくださったり、
シグナスの図書館建設の際にはアドバイスをくださったり、、、
陰ながら力になってくださった漆原さん。
図書館を離れたのちも年賀状は続いていましたが、数年前に途絶え、
そのままになっていました。

かつて、漆原さんが出版をすすめてくださった『ひと言・人・こと』が
復元できたことをどうしてもお伝えしたくて、年賀状をさしあげました。
すると、なんと6年前、奈良や名古屋、岐阜の図書館を撮影していて、
まっすぐ歩けないことに気づき、、、脊髄小脳変性症と診断。
闘病生活を送っていらっしゃること、奥さまから伺ったのです。

脊髄小脳変性症は運動機能だけでなく、発語にも障害が現れる。
指がふるえ、写真を断念。
そんな中で、ある医師との出会いが生活を変えたこと、
YouTubeで知ることができました。


 病気を癒すためには生活そのものを見直す必要がある、
 悪化すると認知症ににもなりかねないと、行政にも連絡を取って、、、
 81歳の漆原さんの話し相手を引き受けたボランティアさんは、年上の82歳!
 
 …年が近いおかげで、話もあったようで、週に2回、
 二人は幼い頃からの親友のように近所に散歩に出かける…

 その効果はすぐに表れ、生活の隅々に生きるチカラが戻り、
 数年ぶりに自らの写真展にでかけるほど。
  ”病があっても生活の中に喜びを見出すことができる”

漆原さんの明るい笑顔に胸がいっぱいになりました。
昨年11月には「妙高市の図書館とともに歩む会」がパネル展を開催、
今年2月には高松市で開催されるそうで、枕元にそのポスターを貼って、
毎日眺めていらっしゃるそうです。 

   【漆原宏写真展 ~ぼくは、図書館がすき~】
   図書館の日常を撮り続けた写真家がいます。
   高松市夢みらい図書館 閲覧室(たかまつミライエ2階)
   2021年2月1日(月)~28日(日)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。