小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

市民の図書館であるために (その2)

前回のブログを読んだ友人から電話があった。

金沢市七尾市でも移動図書館が走っていますよ~」
あらら、、、そうでした、そうでした。。。

25年前の1996年、小さな図書館のスタート時の計画案にも検討事項に
挙げられていた移動図書館。たった12,000冊の蔵書では、現実的には
とうてい無理、まずは本館をしっかり充実させることを当面の課題とした。

1997年には全国で697台の移動図書館が運行していたが、分館の設置や
財政面の問題で、その後、減少傾向にあったという。

三町が合併して生まれたお隣の市(人口約35,000人、64.44㎢)では、
各町の図書館の延長で、中央館と二つの分館が生まれた。
私たちの町(人口約37,500人、面積110.59㎢)はシグナスの一館。

…住民はだれでも、どこに住んでいても、図書館サービスを受ける権利をもって
いる。自治体は、その区域のすみずみまで図書館サービスが均質に行きわたる
ように努めなければならない。(『公立図書館の任務と目標/日本図書館協会』)

それぞれの地域の実情にもよるだろうが、
当町の場合、「移動図書館」はぜひとも必要なサービスだと思う。


篠田桃紅さんの図書館についての考察にはっとさせられ、
《ポストの数ほど図書館を!》の標語を思い出す。

…戦後十年とはいえ、まだ日本は貧しく、アメリカへ来て、その違いの大きさは、
見るもの聞くもの一切であった。~(中略)~ニューヨークのマンハッタンに
住んでいたが、街なかに図書館がいくつもあることを知って、
やはり日本との違いを思ったものだった。散歩していてもすぐ図書館が見つかった。
そして、そこに出入りするひとびとの多さ、それは、学生らしいひとよりも、
普通の市民が多く、つまり日常生活の中に図書館が溶け込んでいると
いうふうだった。…『桃紅 私というひとり/文化社』より

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。