小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

「みんなのへや」誕生!

小さな図書館の活動の中核を担った「みんなのへや」。

もし「みんなのへや」がなかったら、小さな図書館はどんな風だったろうか?
おはなし会も、読書会も、手話、折り紙、手芸などの講座も、実現できなかったかもしれない。当初の計画のまま、本の貸出し専門の図書館として終わっていたかもしれない。・・・「えほんのへや」に続く「みんなのへや」誕生について、いつか触れたいと思っていた。

手帳の記載によると、1996年8月7日、
7月に図書館がオープンして一ヵ月たった日のことだった。
隣町の図書館員のNさんが、津幡町に引っ越されたという山田絵美子さんを伴なわれて、わざわざ相互貸借の本を届けに来てくださった。
山田さんは図書館で自由な時間に個人的に絵本などの「よみきかせ」をされていたそうで、こちらでも同じような活動を希望されていた。書棚と書棚の間のスペースでかまわないとまでおっしゃってくださった。ありがたいお申し出だったが、もう少し待っていただきたいとお願いした。

どこにも余分な部屋はない、、、はずだった。が、5人(スタッフ全員女性だった)集まれば、なかったはずの部屋まで創り出す!

さしあたって必要のない「男子更衣室」を女子ロッカルーム兼倉庫として利用することとし、女子更衣室の床にはカーペットを張り、窓ガラスを替え、レースのカーテン、座布団、机など、「みんなのへや」の開設に向けて、予算確保、環境整備、、、着々と準備を進めた。

図書館としての集会やイベントのための部屋が、必ず、いつかは必要になるだろうという予感はあった。しかし、山田さんとの出会いがなかったら、一年も経たないうちに開設することには至らなかったと思う。

1997年4月にいよいよボランティアさん募集。
第一、第三水曜日の11時から30分の《絵本のじかん》は、6月から図書館の定例行事としてスタートした。自由で開かれた「クラブ活動」をイメージした「絵本クラブ」、初代の代表は山田さんに引き受けていただいた。小さなお子さんを連れた能沢さんや松本さんや山本さん、鍛冶さん、桑江さん、6人のメンバーだった。乳幼児を抱いたお母さんもご遠慮なくどうぞ~と「図書館デビュー」を呼びかけた。お孫さんと一緒にお祖母ちゃんの参加もあった。わらべうた、てあそび、母子のスキンシップマッサージも人気!にぎやかで、笑顔がいっぱい、あったかい《絵本のじかん》だった。

図書館専属!のボランティアさんの正式名は「津幡町立図書館絵本クラブ」。
図書館オープン記念日、読書週間、クリスマスおはなし会、、、さまざまなイベントでいつも楽しげに力を尽くしてくださった。

…「絵本クラブ」のすばらしい人たちと出会えて、つくづくよかったと思っている。
山田さんはことあるごとにしみじみと言ってくれる。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。