小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

桃紅さんの「えほん」

近隣図書館でみると、岐阜県滋賀県では複数館が所蔵、新潟県は一館、福井県富山県は二館、石川県内は津幡町立図書館のみ、という「えほん」があります。

それは、篠田桃紅さんの『桃紅えほん』(世界文化社/2002.4.30)、
『①抽象』と『②文字』の二冊の背表紙を並べ合わせて『桃紅えほん』の書名!です。

うたた、すさび、うらら、相聞、あいみての、微、ふとしては、、、
『①抽象』にはこんなタイトルが並び、
『②文字』には、雪、風、女、紅、花、月、空、、、など。

 私のしごとは、絵そらごと…
 抽象はもとより、文字も、もともとは具象、抽象入り混じった「絵」
 私はとっくに、余生といわれるトシになっているのに、毎日せっせと、、、
 思いのままを、心のゆくえを、かたちや線に…

 空や風はかたちがないし、地球は丸く、月も太陽も丸い…
 四角いものをヒトはどうやって造り出したのか不思議。

 

89歳の桃紅さんの随筆が添えられたこの「えほん」は、
―芸術家の孤高の気配。凛とした空気。さっそうと大会をこぎゆく「孤舟」の趣き―(岐阜新聞評)。

線と形、色の重なり、にじみ、かすれ、、、極上の写真印刷も美しく、いつまでも手もとに置いて眺めていたい二冊。どんな風に制作されたのか、どこから描き始めたのか、最後の線はどれなのか、、、そんな興味も尽きません。
復刻して、多くの方に見ていただきたい「えほん」です。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。