小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

(その五)~点字図書館~

だいじに保管している一通の手紙があります。
点字とひらがなが併記された手紙です。

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つばた ちょーりつ としょかんちょー  ○○ さま

ぜんりゃく。
たいへん ごていねいな おてがみ ありがとー
ございました。 かげやま さんの ごこーい で
せっちょ が おめに とまったよー で おてすきの おりに
ごいちどく いただけたら うれしい です。
いしかわけんわ かく とどーふけんの なかでも
もーじん ふくしの たいへん すすんだ けんで
わたくしも なんどか おじゃまして おります。 もーじん
きょーかいの たなべ たつお しも すぐれた りーだー
です。 としょ PR の いんさつぶつ どーふー
します。 さしあげられず もーしわけありません。

         へいせい 10ねん 2がつ とおか
           にっぽん てんじ としょかん
            りじちょー ほんま かずお

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点字あればこそ~出会いと感謝と』(1997/善本社)の
著者、本間一夫先生からいただいたお手紙です。
その上、影山雅一さんのご厚意で、思いがけなく、電話で
お話することもできました。穏やかな、温かいお声…。

* * *

地域の公共図書館と同じく、視覚障害の方たちにとって
点字図書館はなくてはならない図書館です。
下道綾子さんも点字に出逢ったことで、その後の人生が
充実した豊かなものになりました。

視覚障害の方たちの心の灯である点字図書館は、
5歳で失明され、本の朗読を聞くのが大好きだった
本間さんが、1940(昭和15)年11月10日に創立
されました。その日の「図書館ニュース」創刊号の、
25歳の若き本間さんの言葉にその決意を感じます。

「権利において、義務において、
晴盲二つの世界があくまでも公平でなければならぬ」

* * *

発足当初の蔵書は、点字図書がわずか700冊。
本間先生の志を受け継いで、
日本点字図書館は、更に進化、発展して、
今では点字図書・録音図書をそれぞれ約2万数千タイトル
保有し、全国の視覚障害者に年間約15万タイトル貸し出す
日本最大の点字図書館となったそうです。

HPには、点字図書、録音図書、デイジー編集の充実、
新たな試みとして「サピエ図書館」システム、
館内バーチャル見学もあり、
親しみやすいキッズページもありました。

私が音訳ボランティア研修を受けたのは30年ほど前に
なります。時代と共に、録音図書制作方法もすっかり
変化していることを知りました。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。