小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

愛車とのわかれ

昨日は、愛車と別れた日。

薄いブルーがかった小型車のヴィッツ
走行距離は、50000㎞にも満たない。

あと数年、付き合ってくれるはずだった。
しかし、経年劣化は避けられず、
今回の車検整備で予想外の費用がかかるらしく、
しぶしぶ手離すことになった。

・・・

2004年の11月の寒い日、担当ののっぽさんのKさんから
図書館の駐車場でキーをもらった。

その年の冬の夜、図書館からの帰り道は、
「きんかんなまなま」状態で、
スリップしてするりと一回転したがことなきを得た。
人も車も通らない時刻だった。

ヴィッツとのつきあいが始まって、
これまでの17年間、
少々の傷はあるものの、大きな事故もなく、
穏やかで目立たない風情のヴィッツは、私のお気に入り。
別れのときが迫って、愛おしさが募る。

クルマの運転は実は好きではないのだけれど、
あたたかい小春日和に誘われて、
約束の時間まで数時間しかないというのに、
無性にヴィッツとドライブしたくなった。

* * *

ほら、いつもの運動公園のテニスコート
平日のお昼はさすがに誰もいないねぇ。

・・・

富山との県境にある倶利伽羅峠は懐かしいところ。
長楽寺、倶利迦羅不動寺にまつわるお話を伺いたくて、
山道を運転して、何度も郷土史家の高山精一さんを訪ねた。
高山さんご夫妻はいつも温かく迎えてくださった。
著書、蔵書も寄贈してくださった。
もうどなたも住んでいらっしゃらない。

せっかくここまで来たのだからね、
高山さんが一生をかけられた不動寺をお参りしよう。

階段を上ると、静かな境内。野鳥の声が聞こえる。
雪の立山連峰が青空にくっきりと広がっていた。

・・・

それから、九折(つづらおり)へ。
シベリア抑留の話を語ってくださった大坂喜久治さん。
九折の坂を上りきった明るい峠に、ポツンと建つ墓で、
急逝された息子さんと共に眠っていらっしゃる。

* * *

思い出の地を見せてあげることができたし、
前後左右の記念撮影もしたし、
帰宅した夫に先導してもらって、
金沢まで最後の運転するね。

すると、、、不思議、俄かに空が暗くなり、
激しい雨風にと急変したのです。
まるできもちが通じ合ったみたいに。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。