小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

ある鍛金作家との出会い(その二)~寄贈の本

図書館には、さまざまな寄贈本が届きます。
政治や宗教の布教、特定の企業のPR資料等は
お断りするのが一般的です。

自費出版物寄贈については、
以下に該当する資料は受けつけることができないと
明記している図書館もあります。

 自分史、家系に関する著作
 小説・詩・俳句・短歌等の文学作品
 各分野の随筆
 写真集、絵画集等の作品集
 非専門家の調査研究・報告書
 客観的データのない調査研究書
 意見書、陳述書 ほか
 漫画・コミックス
 同人誌、、、
 その他、館長が必要と認めない資料

小さな図書館では、
自費出版物は可能な限り受け入れる方針で、
内容によっては、こちらから求める場合もありました。
既にブログに書いたように、
本から人へと出会いは繋がっていきました。

(2021.6.23  山の向こうから鬼が来る①~③)
(2021.9.3   山下すて短歌抄のものがたり)
(2021.10.26  点字で書いた日記①~⑥)

* * *

高岡嘉久さんと出会ったのも一冊の寄贈本からでした。
あれは、小さな図書館が開館した翌年、25年前のこと。
自費出版の『戦後五十年 日本は今』(1997.11.20)が
送られてきました。

・・・・・・

政界は噓つきの健忘症の天国だ!
国怪疑員(国会議員)、疑員消言呆(議員証言法)
日本劣島、赤恥酷債(赤字国債)、酔党(与党)
夜盗(野党)、粗理大臣(総理大臣)の”死政放心演説”

原発従軍慰安婦の問題にも言及し、
叙勲は憲法違反ではないかと指摘する。

・・・・・・

帯には「高岡美術記念館開館15周年記念出版」
著者の獨談「独断と偏見」とで平易で分かり易く
親近感を現わすよう著したとありましたが
美術評論の類ではなく、政界、世相を、
縦横無尽に批評した本…表紙の「芸術作品」も強烈です。

新米館長の私は仕事が忙しかったこともありました。
見慣れぬ言葉に圧倒されていたことも事実でした。
机の上に本を置いたまま、一週間過ぎたときでした。
高岡さんから一枚のハガキが届いたのです。

礼状が届かないことについての叱責?と
不要ならば返却されよとの催促でした。

これは一大事!!!
あわてて礼状を出す一方、
どうしても直接お話しなくてはと電話をかけました。
さぞ厳しい方に相違ないとドキドキしながら、、、

ところが、私の不安は一瞬にして消え去りました。
想像とは全く違って、穏やかで…温かく…
その優しさにどんなに安堵したことか。
小さな図書館を励ましてもくださったのでした。

* * *

『嗚呼どうすりゃよいのか此の日本』(1987.11.28)
『日本が危ない』(1990.10.1)
『日本の構図』(1992.9.23)

北國出版社/北國新聞社発行の既刊三冊と共に
風刺とユーモア全開の「毒舌評論」第1弾~第4弾、
複本でいただきました。(県内図書館の数館に所蔵)

国の将来を真正面から論じる高岡さんです。
「このところ”日本劣島”は不気味な地鳴りがつづいている。
これほど自然を破壊して何か事が起きなければ奇跡というより
ほかない。…人間を含め地球上の生物は自然の摂理に従って
生きている。」の言葉にも共感します。

* * *

高岡さんとの出会いはこうして始まりました。
そして私は、寄贈本について、以前にも増して
心して対処するようになりました。


☆ブログのおかげです。
一冊の本をめぐるひそやかな物語を
伝えることができるのは嬉しいことです。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。