小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

梅枝尺はピラカンサスが好き

息子から立派な紫陽花の写真が届いた。
我が家のはまだまだ蕾。

その隣のヤマアジサイの「クレナイ」は
5、6年前、友人からもらった一枝。
今にも枯れそうな細い枝だけれど
可憐な花をいくつも咲かせている。
白から紅色に変化する装飾花の
艶やかさははっとするほど美しい。

梅の実はまだ青いけれど順調に大きくなっているし、
草の中から背丈が伸びたミョウガが繁っている。
ミツバもフキもヨモギも、もう一回は収穫できそう。
ドクダミはすくすく育っているけれど、
たっぷり摘んで干したから、これぐらいでもういいかな。
ああ、きれいな柿の葉!
採って押しずしを作ってみよう。

* * *

声にならないひとり言を唱えながら
家の周りを一回りしていたときでした。
思わず、息を呑んだ、、、。
今か今かと待ち続けていたものが姿を現したのです。

山茶花の垣根をひらひら、ひらひら、、、
3㎝ほどの蛾(?)が数匹飛んでいます。
白と黒のまだら模様、、、
予測した通り、あの幼虫が羽化したに
違いありません。


垣根の隅っこに生えている二本のピラカンサス
白黒の縞模様の虫たちを見つけたのは
二週間ほど前のこと。
枝に触れると、するする糸を出してぶら下がる、
見るからに気味の悪い虫でした。
駆除と観察を兼ねてかなり捕獲しましたが、
逃れた幼虫が無事サナギになって
羽化したのでしょう。

その名は「ウメエダシャク」、
ピラカンサス」を食草にしている蛾だと
羽化した姿からやっと判明しました。

透明のプラスチック製のテニスボールの
空き缶(飼育観察には恰好の容器です)の中で、
蛾は蛾らしく、羽を開閉しながらじっとしています。
記念写真も撮りました。


ピラカンサス」の名前さえ思い出していれば
幼虫の正体を即座に知ることができたでしょうに、
うろ覚えのアカンサスでは分からないはずです。


謎の虫が蛾だと知って逃げ腰の夫の手で
いつの間にか「ウメエダシャク」は
ユーティリティに移してありました。
夫の麦わら帽子を捕虫編にしたなんて、、、
当分言わない方がよさそうですね。

* * *

飼育観察といえば、
子どもたちが小学生の頃、夏の科学研究で
アゲハチョウを育てたことがありました。
幼虫からサナギになる前に余分の水分を排出したり
体を固定するためにしっかり糸掛けをすることを知り、
何回糸掛けをするのか徹夜して数えたこと、神秘的な羽化、
なにもかもが懐かしい…。
あれは、お母さんの方が夢中だった~と
子どもたちは口を揃えます。

平和でした。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。