小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

チョウ目の主体は?

ヤマアジサイのクレナイのお隣で、
青紫のガクアジサイが色づき始める。
今年はせっせと水やりをしたせいか、
例年にもまして色鮮やかだ。

友人から分けてもらったコスモス苗は
3ヵ所に植えてみた。玄関前のはまだ蕾も見えず、
どんな色が咲くのかしらん、白?ピンク?

庭に植えたのは既に二輪も咲いた。
目が覚めるような赤色のコスモス。

日日草の苗だと聞いてもらった苗は、
じつは向日葵、背丈がずいぶん伸びてきた。

桔梗の蕾たちも膨らんできた。

ラベンダーやローズマリードクダミ
和洋ハーブも繁った庭…に、

モンシロチョウ、アゲハチョウ、
あのウメエダシャクもひらひら舞っている。

蛾は暗くなってから飛ぶイメージだけど、
ウメエダシャクのように蝶のように
明るい時に飛び回るのもいる。

* * *

図書館で見つけたのは

『イモムシ・ケムシぞろぞろ大図鑑』
(中島秀雄 岸一弘/2012.5.21/PHP

解説が丁寧で分かりやすく、写真も鮮明、
眺めているだけでも充分たのしい図鑑だ。
(*ウメエダシャクの食草にピラカンサスはなし)


肉食性のチョウやガの幼虫がいる。
土の中でサナギになる幼虫もいる。
《昼間飛ぶガの仲間は美しい》の解説になるほどと思う。

ガの章を担当された中島さんは、小学生の頃よりチョウの
「はね」の模様の美しさに魅せられ、中学、高校生まで
チョウの採集に夢中になるが、大学に入ってからは生活様式
多様なガに興味をもち、その研究に打ち込まれたとある。
チョウやガの幼虫時代の研究は「そのくらしを知るだけでなく、
植物とのつながりなど、生態系での役割を知るために大切なこと
~~イモムシ、ケムシを好きになり、さらに親しくなって」
という中島さんの想いが伝わってくる。

チョウ目(鱗翅目)にはチョウとガの仲間が属しているが、
その9割をガの仲間が占めているという。
キアゲハを育てたことがあるし、
オオゴマダラチョウの羽化を見守ったことがあるが、
まだまだ知らなかったチョウ目、センス・オブ・ワンダーの世界だった。


* * *

「萬の蟲の恐しげなるを取りあつめて、
これが成らむさまを見む。」
は、『堤中納言物語』の中の《虫愛ずる姫君》

「世間の人たちって、蝶よ花よと外見の美しさばかり愛でるけれど、そんなのってうすっぺらでへんだわ。誠意をもって、ものごとのほんらいの姿をついきゅうすることこそ、人間にとってたいせつな尊い心がけだと思うの」とのことで、気味悪そうな虫をいろいろ集め、「この姿がどんなふうに変化するか見ることにするわ」と、さまざまな虫かごに虫を飼っていらっしゃるのでした。とりわけ鳥毛虫(かわむし)がお気に入りで「毛虫ってなんだか思慮深そうでおくゆかしいわ」(少年少女古典文学館 第七巻/1992.11.28/講談社

あまたのイモムシ、毛虫が変身して、
蝶となり蛾となってひらひら飛び回る様子を想像すると
さすがに美しさを超えた感がある。
お付きの女房たちは怖がったり、困ったり…のはずだ。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。