小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

露天風呂で聴いた『あかいくつ』

夫と二人だけのお正月でした。
年末から昨日までの五日間、炬燵にもぐってテレビを見たり、本を読んだり、甘いものを食べたり、自由気儘に過ごしました。クリスマステニス大会は無理だったので、新春テニス大会にはなんとか参加したいのですが、膝の調子がいまいちです。一方、夫はちらつく雪をものともせず、目標の歩数をめざして欠かさず散歩、懸命に体力保持に努めています。

 

そんな夫が昨日、雨風をしのいで歩けるし、新しいショッピングモールはどうかと提案してきました。人出の多いところは苦手、ウインドウショッピングにもどんどん興味が薄れている私。でも…にっこり、、、いいよ~と、すぐさま出かける準備にとりかかりました。たしかに少し歩くのはよさそうだ。それよりも、夫とドライブする機会がいつまで続くかわからない…そんな思いが増しているのが大きな理由。

その日、素直に同調してよかったなと思うようなことがありました。

~☆~☆~☆~

白山市の大きなモールを散歩したあとです。
近くにあるスーパー銭湯の露天風呂でのこと。

お母さんと女の子が入ってきました。

―肩をたたいてあげようか。

女の子がお母さんの背中にまわって、トントントン。
その様子があまりにかわいくて、、、
何歳ぐらいかなと思っていたら、一瞬目があって、
すると、女の子の人懐っこいまなざしが
ふわり会釈してきたのです。

こんなことって、初めてのこと!

少し小さな女の子も入ってきました。
わたしたち、すぐに仲良しになりました。
四年生と年長さんの姉妹でした。


―”ゆ”ってかけるよ

― じゃあ、湯に”ゆ”ってかけるかな

妹は”ゆ”らしい字をお湯に書きました。
ふたりとも名前の頭文字が【あ】で
お母さんも【あ】段でした。

ほんとは妹の名前をつけたかったんだけど。
でも、今の名前も気に入っているよとお姉ちゃん。


― ねぇ、『あかいくつ』ってしってる?

― うん、知ってる、知ってる

それから、妹の【あ】ちゃんの
じょうずなお話が始まりました。
お姉ちゃんの【あ】ちゃんが補足します。

私の知っている『赤い靴』では、
踊り疲れた少女はとうとう両足首を切断してもらうけれど
姉妹の話には最後までそんな怖い場面は出てきません。

本ではなくて、YouTubeで見たと知り、
今どきはその手があるんだと内心驚きました。

にこにこ聴いていたお母さんが
― お父さんが待ってるからね、そろそろ、、、


時おりすっ~と吹き込む風がきもちいい露天風呂。
家族以外に、今年初めて会話した母子たち。
たぶん、もう会うこともない私たちでした。

三人のファーストネーム
新年の手帳に記録しました。
昨年はライトブルー、
今年はあたたかなサーモンピンクの手帳です。

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皆さま、今年もどうぞよろしくお願いします。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。