「モビールは動く彫刻」
先日のEテレの「アートシーン」で
アレクサンダー・カルダーの
モビール作品を目にしたばかりですが、
西田幾多郎記念哲学館を会場に
三崎大地さんのモビール展『空間詩』が開かれています。
21日(日)、明日が最終日です。
Kさんが知らせてくださったおかげで
昨日、友人たちと見ることができました。
広々した哲学館はモビールにぴったりの
まさにセンス・オブ・ワンダーの空間でした。
モビールの素材は、どれも
海辺や野山で拾い集めた植物のタネや葉っぱ、
貝殻、鳥の羽、流木など。
たしかに、
「風に揺らぎ、空間を漂うモビールは
姿形を持った一編の詩」
作品ガイド一覧にはこんな言葉も添えられています。
☆作品にそっと触れたり、風を送ったりすることで、動きをお楽しみいただけます。
☆作品撮影、SNS等への投稿も自由です。
展示されていた一枚の詩文にも
お名前の「大地」にも
深遠なる世界を感じました。
↓
《わずかな言葉でも、紙上の空白とそれらの関係から詩情が紡ぎ出されるように、
陽の光が注ぐ空間を風が通り抜ければ、
定まった姿形を持たないモビールたちは動きはじめ、
無機質な空間の余白を満たす光の粒子や空気の運動、あるいは地球の引力と触れ合いながら 揺らぎ、回り、泳ぎ、影を散らし、詩情を紡いでゆく。
― 我々が花を愛するのは自分が花と一致するのである。
月を愛するのは月に一致するのである。―
西田幾多郎『善の研究』
木の実や鳥の羽、流木を求めて私は海岸を歩く。
ふと視線を上げて海の遠くを眺めるとき、海と私が繋がるような感覚を得る。
私と海を分かつものはない。
足元の羽を一枚手に取るとき、羽と私とが重なるような感覚を得る。
私たちを隔てるものはない。
多くの漂流物を収集してきた。
植物片の集積には、山から川へ、川から海へと、個々のかけらが辿った旅路が刻まれている。
貝殻の集積には、海の底から浜辺にゆりあがるまでの時間と空間の記憶が刻まれている。
モビールの形作る漂流物は、多様な風景と物語とを私たちに示してくれる。
この空間は、私たちと彼らとが一致するための場所になる。
彼らをじっと見つめてみてください。
彼らのささやきに耳を澄ましてみてください。》
三崎大地さんについて
(https://artscouncil-kanazawa.jp/artists/1065/)