小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

藤平朝雄さんから「能登だより」

昨日の夕方の地震にどきりとした。
津幡は震度2というが、かなりの揺れに感じた

一連の地震が始まったのは、三日前の26日夜10時47分。
瀬戸内寂聴さんの番組が始まってすぐだった。
ぐらぐらっと揺れ、けたたましい緊急速報が響いた。
慌てて靴下、防寒具を羽織って、玄関近くで待機した。
夫が県外に出かけていて留守だったこともあり
自分の身を守れるようできるだけの準備をして
まんじりともせず一夜を明かした。

発表によれば、能登震度5弱、津幡は震度4。
その後も震度2、震度1が十数回と頻発している。
これまでにはなかったことだ。
揺れるたびに、元日の事が思い出され身構える。

志賀原発が心配だ。

津幡から始まる「森本・富樫断層帯」の
今後30年以内の地震発生確率が2%から8%のSランク
というのも気になり始めた。

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能登ではこんな不安な状態が長期間続き、追い打ちをかけるようにして9月の豪雨。
町野の大きな被害が報じられ、10月にはいってから思いきって藤平さんに電話して、
お元気な声に安堵しました。

11月18日の中日新聞には、北海道鶴居村のボランティアサークル「手編みの会」の女性たちから託されたという毛糸の靴下や帽子、マフラーなどを前にして、仮設住宅やお年寄り世帯に配りたいと微笑む藤平さんがいらっしゃいました。

そして今日、その藤平さんからお便りが届きました。

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「飛総立て 船木伐るといふ 能登の島山
今日見れば 木立繁しも 幾代神びそ 
          大伴家持万葉集

能登はやさしや土までも
花 のとキリシマツツジ
木 タブノキ

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あふれる能登愛が印字されたいつもの茶封筒。
消印は26日、なんと地震が起きたのはその夜…。


A4裏表12ページの私家版能登便『旅は道連れ④』は
隅から隅までびっしり。豪雨の爪痕のスナップもありました。
興味深い記事が満載でした。

☆《熱狂のキリコ祭り》(『能登名跡志』より)
☆《激震地からのミニレポート》は「能登はやさしや土までも」の語源
☆《人生を『私の履歴書』から学ぶ》は、『私の履歴書』研究の第一人者・吉田勝昭先生のこと。67年間に登場した894名のデータが分類整理されています。

☆《能登の子守歌》(作詞/藤平朝雄、作曲/向川原慎一)は

ねんねんころり ねんねこさい♪~で始まります。

ご案内通りに「田中良夫 能登の子守唄」で検索すると、YouTubeで流れてきた珠玉の子守唄と地震前の能登半島

曾々木海岸、窓岩、千枚田
《吟風まつり》で朗詠された沢木欣一さんの句碑
「塩田に百日筋目つけ通し」も。

美しい歌と風景に思わず胸あつくなりました。

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「窓岩の姿は変わりましたが
夕陽を眺めると心が和みます」

「焦らずゆっくりと日々を
歩んでまいります」と85歳の藤平さんです。

どうぞますますお健やかに。
どうぞ地震が鎮まりますように。

(藤平朝雄さんの連絡先:〒928-0206 輪島市町野町曾々木オ部19-1)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。