小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

まもり続けた故郷~歌集『珠洲の海』

枕元にはいざという時に備え、
防寒具、靴下など一式を揃えるのが習慣になっているのだが、
昨夜10時すぎ、一瞬ぐらっと揺れて、身構えた。

気象庁発表によると、22:14発生、石川県西方沖 M4.0
津幡町は震度1らしい。
その後は何ごともなくおさまって眠りについた。

偶然にも、そのとき手にしていたのは、『ためされた地方自治原発の代理戦争にゆれた能登半島珠洲市民の13年』(山秋真/桂書房/2007)。珠洲原発の建設を阻止した住民の反対運動を追ったルポルタージュである。
 

実は、その三日前の北陸中日新聞に、「被災、原発 詠み続け」た珠洲歌人として、
仮設住宅の前に静かに笑みを浮かべる砂山信一さん(76)が大きく紹介されていた。
私はブログで繋がった方を通してその歌人の名を知り強く関心を寄せていた。

 

記事によると、中学校教師として小松市に勤務しながら23歳で歌をつくり始めた砂山さんは、珠洲市原発誘致計画が浮上すると反対を決意し、故郷へ戻ったという。市内の中学校に勤め、地元住民らでつくる反対連絡協議会では、事務局長を務め、反対運動に奔走されたと知って、再度『ためされた地方自治』を読みなおした。

 

一昨年、初の歌集『珠洲の海』(2000年までに詠んだ667首)250部を自費出版
200部を知人、友人に配って、残りは新年に、と考えていた矢先に能登半島地震が襲って、自宅は全壊してしまった。体調も崩された。


珠洲歌人・砂山さんを広く紹介したいと
所属する「新アララギ」(*1)の雁部貞夫代表が歌集の書評をつづり
昨年11月には「いりの舎」(*2)から文庫版が刊行された。

文庫版には被災体験や出版までの経緯をつづった後書き、
地震の前後に詠んだ62首も加えられているという。

 

収録の短歌(抜粋)

・真新しく整ひてゆく蛸島原発反対の看板立つ中
原発ができれば珠洲を捨てますと少女は訴ふ涙ながらに

・体育館に地震避難せし四百人カイロ貼り毛布着ストーブに寄る
・我が思ひと同じ記事なり珠洲原発できず良かつたとエッセイスト書く


県内のどの図書館にも所蔵されていない歌集だったので、
新聞に紹介されたその日、まず、地元の図書館にリクエストした。

 

~参考~
(*1)「新アララギ
https://www.shin-araragi.jp/index.htm

(*2)「いりの舎」
https://irinosha.com/irinosha-books/2024-10-29.html 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。