小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

ガザ あるジャーナリストの死

『もしも君の町が ガザ だったら』の

「おわりに」に、

イスラエル軍の攻撃により殺害されたジャーナリスト、
ホッサム・シャバットさん(23歳)が自分が
殺されたときのために残したメッセージがあった。


“どうかガザについて語ることをやめないで…
世界に目をそらさせないで…
たたかいつづけ、私たちの物語を伝えつづけて…”

***

ホッサムさんが殺されたその同じ日、
もう一人、ジャーナリストが殺された。
3発のミサイルが自宅を直撃した。

NHK『ガザ あるジャーナリストの死』で詳細を知った。

17年間にわたって
桑山紀彦さん(地球のステージ代表/精神科医)が寄り添った
モハマッド・マンスールさん(28歳)

出会いは、2009年。
ガザを訪れた桑山さんは、大きな被害を受けた子を集め
「思い出の風景」をテーマに絵を描いてもらった。

その中でひときわ目をひく少年の絵があった。
黒の鉛筆だけで描いた絵。
生まれ育った町をイスラエル軍が攻撃している。
飛行機が…ヘリが…戦車が…

対するハマスも飛行機を攻撃。


〈なぜ、色を塗らないの?〉

・・・色は「自由」の象徴。僕たちの生きている世界には色はない。黒は暗闇を表わしているんだ。

 

そして、絵の左上には切実な思いが綴られていた。

“罪のない子どもたちをなぜ殺したのですか?
なぜ、誰も助けてくれないのですか?”

怒りに燃える少年は12歳。

… … … … …

しかし、桑山さんとのつながりを通して
彼の絵に変化が現れた。

テーマは「夢」

太陽が顔を出し、空には雲が浮かび、山や木も描かれている。
日本に行きたいので、船、飛行機を描いた。
赤、青、黄、緑のカラーの船体。

色はどこでも行ける「自由」を表わす。
彼にとっての「夢」だった。


〈なぜ、日本に行きたいの?〉
・・・(にっこり笑顔をみせて)あなたがいるから。


彼が大切だと思う五つの言葉は

【自由、愛、希望、平等、正義】

【愛】があれば、助け合う心があれば
戦争は起きないからと。

… … … … …

支援を受けて大学でジャーナリズムを学び
桑山さんから渡された一台のカメラを手に
ガザの惨状を世界にレポートした。

【PRESS】のベストを誇りに
ジャーナリストであり続けた。

ガザに生きる人たちの声なき声を
命をかけて伝えようとした。

… … … … …

2023年12月、イスラエルの攻撃は更に激しくなった。

12月31日のメールには

「世界が新年を祝っていることを
僕には想像できない。
僕たちはまた戦争の泥沼の中に…
しかし、世界は沈黙したまま。
世界はいつこの戦争をやめさせるための
声をあげてくれるのだろう。

ぼくたちが求めているのは
たった一晩でいいから
静かな夜。
戦闘機がとばない
晴れわたった空。

~ ~

新年を祝おうとする世界の人々が
たった一分でも
ガザのことを考えてくれればと願う。」


〈日本は自由で、何でもかんでも手に入って、シャワーも浴びられるし、本当に申し訳ない〉


「悲しまないで。
もし全ての人が不自由な生活だったら、
お互いを思いやることはできないでしょう。
でも、自由な生活をしている人は
相手を思いやることができる。
桑山先生の自由な生活が続くことを
願っています。」


胸がしめつけられ、涙が溢れてしようがなかった。
二人のジャーナリストが殺害されたその日
私の誕生日、だった。

… … … … …

イスラエルによるガザ記者殺害に抗議する 
日本ジャーナリスト会議(JCJ)
https://jcj.gr.jp/recentactivity/14344/


*写真展&モハマッドを偲ぶ会開催のご案内(もう終了しているけれど)
https://e-stageone.org/info/news/20250611.html 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。