小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

白兀山へ(四季折々の会)

昨夜は美しい中秋の名月、そして、きょうは秋晴れの爽やかな一日。
医王山へ登った日も、今日のような気持ちの良い日でした。

先月の「古典をたのしむ」読書会に、大きなザックとストックを持参された武田先生。
はて?…読書会の最後にその説明があって、ようやく意味がわかったのでした。
そのザックがいかに取り出しやすく便利か、ストックがあるとどんなに歩きやすいか。
飲み物やお弁当も私が全部持ちますよ、ストックもこれを使ってください、
とおっしゃって、あれよという間に、みなさんのスケジュールの調整もできて、
近場の山に登ることになりました。

石川に住む者として、一度でいいから白山に登ってみたいと憧れつつも、歳と共に
膝や足腰が故障し、ほとんどあきらめつつある私をプッシュするプロジェクト!?
21日はまさしく敬老の日でした。

標高896mの白兀山(しらはげやま)~覗(のぞき)~大沼~覗(のぞき)~
10㎞ほどの行程です。あれが戸室山、キゴ山、日本海、砺波平野、、、
山頂からのぐるり360度の眺望は実にすばらしいものでした。
クマ除けの鈴の音を追いながら、足を滑らせたら一大事と緊張して上り下りした
細い急峻な坂道、かわいいオオサンショウウオ、山で食べたカップラーメン、
その名に惹かれて寄り道した夕霧峠からの絶景、、、

それにしても胸を突かれたのは、途中の休憩所で見たたずね人の2枚の張り紙。
昨年、そしてこの6月、お二人の方がこの山で行方不明になったそうです。
新聞やテレビで報道されていたのでしょうが、なにか遠いできごととして
ほとんど関心を持たなかった。。。けれど。。。実際に歩いたその山で、
何かアクシデントが起きて、今も、だれか見つけて…!と叫んでいるような
気がして胸が痛みました。

2、3日して、ふくらはぎやストックを持った腕がパンパンに張りましたが、
大好きな須賀敦子さんの『こうちゃん』の一章を口遊んで、紅葉した山道を
また歩きたくなります。

   …… …… …… …… …… …… …… ……
  ある日 山道を ひとり あるいていたら、
 夕陽のいろに染まったやまはぜのしげみから、こんなこえがしました。
 「ききょうに、りんどうに、なでしこに、きいろのぷちぷち。ききょうに、
 りんどうに、なでしこに、きいろのぷちぷち」
  おもわず、「なんだ、きいろのぷちぷちはおかしいだろう。おみなえしだよ」
 というと、あははと小さくわらって、「そうだっけ。おみなえしか」とこたえて
 きました。
  あれも たしかに こうちゃんです。 (2004年/河出書房新社より)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。