小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

新聞

若い人たちだけでなく、
新聞を購読しなくなった人たちが増えているらしい。
ネットで新しい情報が簡単に手に入る時代、
紙媒体の書店が減っていくのと同じ流れなのでしょう。

我が家は、早朝の新聞から一日が始まります。
目覚めの早い夫が老眼鏡をかけ、布団の中でじっくり読む。
次に私がゆっくり目を通す。

購読しているのは中日新聞
過去には、地元紙の北國、読売や朝日新聞も愛読した。
現在、中日を選択している第一の理由は、
掲載されている東京新聞《(こちら)特報(部)》の
リベラルな立場での取材、主張に元気をもらえるから。

官房長官記者会見で果敢に挑んだ望月衣塑子さん、
そして郷土出身の中山洋子、中村真暁さんら、
ジャーナリズム魂の女性記者を陰ながら応援している。

斎藤美奈子さん、宮子あずささん、師岡カリーマさんらの
《言わねばならないこと》、さまざまな年代の一般読者の
《発言》欄も、共感したり、感動したりしながら
読んでいるページです。

☆ ☆ ☆

1月11日の石元みさをさん(94歳)の《発言》は愉快でした。
「老婆の武勇伝を聞いてください」から始まる投稿文。

~~ ~~ ~~

今晩の食事の準備のために裏の戸を開けた石元さん。
なんと!マットの上にヘビが丸くなっているではないか。
家に入って冬眠するものではないと言っても
ヘビに分かろうはずもなく

「…意を決して丈夫なナイロン袋を手にかぶせて、
ヘビの頭を押さえつけ見事に捕まえました。
袋の中でがさがさもがいていましたが、その上から
二重三重にと、袋に入れひもでしっかりしばりました。
私の手足は怖さのためぶるぶる震えていました。
夜、息子が帰宅したので、一部始終を話し…」

優しく、逞しい、みさをさん。
翌朝、広い田んぼに捨ててもらったそうです。
それにしても、ナイロン袋でなんて信じられない!
ヘビが大の苦手の夫と共に、
大笑いさせていただいた《袋にヘビ捕獲》です。

 

☆ ☆ ☆

図書館で複数の新聞をぜひ読み比べてください。
それぞれに特徴があり、立場、論調が異なるのも分かります。
各図書館によりますが、過去の新聞も保存されています。

【新聞の保存期間】(津幡町立図書館HPより)
 朝日新聞        1年分 
 朝日小学生新聞     1年分 
 JAPAN TIMES    1年分 
 日本経済新聞      1年分 
 日本農業新聞      1年分 
 北陸中日新聞(朝・夕刊)1年分
 北國新聞     昭和41年~(縮刷版)※欠けあり 
 北國新聞  (夕刊)       1年分 
 毎日新聞        1年分 
 讀賣新聞        1年分

図書館の「福袋」と「本棚」

お~!!いいな~~
一週間前、図書館の明るいニュースに気分がはなやいだ。

* * *

お正月明けの図書館でずらり並ぶ「本の福袋」!
10年前、金沢市の玉川図書館から始まった名物企画だ。

今では、金沢海みらい図書館と泉野図書館、
市内三つの図書館が同時開催で、各館約100袋に
職員がテーマごとに選んだ本が2、3冊ずつ入っている。
《一般書》には小中学生以上などの主な読者対象が明記、
真っ赤な袋のデザインがとてもお洒落です。
人気のため、二、三日でなくなってしまうんだとか。

”袋を開ける時のドキドキ、ワクワク感を
味わってほしい”と図書館員は話す。


「暮らしに寄り添う植物」
「ぐっすり眠りたい!」
「豊かな時間を本とともに」
「本好きに捧ぐ」
「モフモフたち。ネコときどきイヌ」
「笑う門には福来る」
「イギリスの料理はおいしいのか?」
「かえる大好き」
「いつだって母は〇〇い」 ・・・


図書館員の日頃の磨きをかけた選書のセンスを
おおいに発揮する場でもある。
新たな本との出会いを生み出すチャンスでもある。
どんな本が入っているのかな?
そっと覗いてみたくなる。

テレビのインタビューを受けた女性は、
この福袋がいつも一番の楽しみだという。
昨年初めて利用して、そこで出逢った作家の本を
その後、8冊読んだという男性もいた。

* * *

昨日の中日新聞には、それとは異質の
図書館の大きな特報記事がありました。

「高すぎる本棚 本当に必要?」
「10メートル超 東京の新設図書館」
「中野区釈明 展示に活用、安全確保」

「見栄え重視 各地で物議」
「ガラス張り 2000冊日焼け」
「書店、カフェ・・・資料館は縮小」
「一方で・・・本来の資料保管機能 衰退」

これらの《見出し》は、中山岳記者が、
2月開館予定の中野区立図書館の本棚から端を発し、
長野県茅野市民館図書室、佐賀県武雄市図書館を
例にして、資料費予算減、非正規雇用の増加等、
図書館が抱える課題に言及した記事です。


「、、、多くの人が滞在できる工夫は悪いわけではない
ものの、本やスタッフで勝負できる図書館が増えてほしい」
「各地の図書館のネットワークを強め、本を取り寄せる
機能を充実させるなどの取り組みが必要だ、、、」など、
貞包英之教授(立教大)の提言に、私も賛同しています。

私たちの新年ウォーキング~ことり

今年も二人だけでしたが、
幸せにも、お正月らしくゆっくり過ごし、
元気にウォーキングをすることもできました。

* * *

元日の午後は、恒例の森林公園へ。
(新型コロナの前年までは、帰省した娘も一緒でした)

公園内の山道は積雪30㎝、持ってきた長靴に履き替えて出発です。
雪の中には、既に先客の三、四人の足跡がありました。
棒きれで書いたのでしょう。
雪の上には「あけましておめでとう」の大きな文字。
先へと進むと、それらの足跡も減ってきて、
「HAPPY NEW YEAR」の文字だけ残して、
最後の誰かも引き返したようでした。

時おり裸木の梢から小鳥が一羽つつっと飛び立って、
その拍子に枝の雪が微かに落ちる。
樹木の間からはイイギリの赤い実。
晴れ間から白山連峰が遠望できる。

新雪を踏みながら、
ふたりだけの雪道・・・

まさか冬眠し損ねたクマはいないよね、
小さな動物の足跡も全然ないね~
スノー・エンジェル、やろうかな~
と辺りを見回しながら、
傘を杖に、一時間ほどの初ウォーキング。

スマホで(私は未だガラケー)自撮りも初体験。
娘に電話して手ほどきを受けて、
きらきら光る樹氷と記念撮影したのです。

* * *

快晴の二日は、昼前に出発。
河北潟干拓地、メタセコイア道を歩きました。
近くの水路で群れていた鴨たちが、私たちの歩みに合わせ、
次々に一斉に飛び立っては移動を繰り返します。
レンコン畑のあぜ道や、農作業のハウス周辺には、
小動物らしい数種類の足跡が点々と続いていました。

 ~~~~~

実は、出かける時のことでした。
夫が「あ…」と指さしました。
玄関先の雪の上に、小鳥が一羽、横たわっています。

黄緑色の羽、目の回りの白いリング、
手のひらにすっぽり入る小さな鳥、
ひと目で「メジロ」だとわかりました。
いったいなにが起きたのだろうか
まん丸い目を開いたままで、
息を吹きかければ動き出しそうな。
細い足指が凍っていました。

朝、お雑煮を食べている時、
チーという鳴き声に気づきました。
あの時見つけていれば、
なんとか助かったかもしれません。

歌えなくなった小鳥は眠っています。
雪の残る裏庭のツバキの根元深く、
赤い椿二輪に包まれて。

 ~~~~~

メジロ」のことがもっとよく知りたくて、
昨年は幾度、CD付きの『野鳥図鑑』を図書館から借りたことか。

チーという地鳴きは澄んだ高い声。
さえずりは「チーチュルチーチュルチチルチチルチィー」

メジロに夢中になったきっかけは
小川洋子さんの『ことり』(朝日新聞出版/2012)でした。
延長して借りて、また借りて、とうとう文庫本を購入したのです。

いつか書きたいと思っていた『ことり』との出会い、
そのことりが突如として目の前に現れたのでした。
新年のはじまりに…、雪の上に…。

愛車…つながりの思い出

小納弘先生の思い出が、
隣町の村中さんとの糸をむすんでくださって、
その三日後のことでした。

12月10日の中日新聞の《くらしの作文》に
村中さんの投稿文が掲載されていました。
タイトルは「愛車」。

先日、私は愛車ヴィッツと別れたばかり、
不思議なご縁を感じて読み始めて
思わず息をのみました。

愛車といってもいろんな愛車がある!

* * *

《みなさん、「愛車」と聞くと、自動車と思うでしょう。
ところが、おっとと、その愛車に乗っていたけれど、
平成四年から仕方なく乗り換えて、長くながくお世話に
なっているのが、今の愛車、車いすです。…》


ぞっとするような自動車のもらい事故で、
車いすに厄介になり29年、今は七代目とか。
この車いすで外に出た時
にわか雨でびしょぬれになって…

《…車いすに済まぬすまぬの思いだった。こうして長い人生、
車いすともいろんなことがあった。これからも大切に愛用
するのでよろしくね。》

84歳とは思えない明快な電話のお声からは、
全く想像しなかった村中さんの人生です。

小納先生は「石川作文の会」に所属され、
作文を通して子どもたちを見つめられたという。
村中さんの温かな言葉、ユーモアのセンスには、
そんな先生の影響もあるのかもしれません。

* * *

『べったん横丁のおれ』、時代は昭和14年
日中戦争を背景に、西宮の人情あふれた人たちの姿が
生き生きと描かれています。

ところで、「べったん」って?
「べったん」というのは、メンコのことですって。
私の生まれ育った所では、「ぱっしん」。

近所の子どもたちが一緒になって遊んだ。
腕を振り下ろすには力だけでなく、コツが要る。
強い「ぱっしん」を作る秘けつは、油をしみ込ませる!

かくれんぼ、ビー玉、石けり、、、

家の前の商店街の道路は、
時々、自転車や荷馬車が通った。
大きい子も小さな子も、男の子も、女の子も、
わがもの顔で、日が暮れるまで遊んだっけ。

* * *

主人公の五年生の二郎が、
「ぼく」から「おれ」になったのは、
出征するだいじな人を見送った時。
私は、中学校に通うようになった日、
「わち」から「わたし」になった。

そんな細かなきもちまで蘇らせてくれた本。

(小納弘さんは西宮市生まれ。太平洋戦争末期、両親の故郷の加賀市疎開され、終戦後まもなく小中学校の教員になられたそうです。)

小納弘(おのう ひろし)さんのまなざし

12月7日、中日新聞読者の《発言》ページ、
「恩師の思い出」の投稿文は村中重徳さん。

11月17日の「わがまちの偉人」、児童文学者の
小納弘(1928~2017年)さんの記事が
はっと目に留まったそうです。

村中さんが中学生二年生の時、学芸会で
狂言附子(ぶす)を演じることになり
熱心に狂言風のなまりを指導してくださったという
若き小納先生の思い出でした。

~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

「《愛込め、人間を書く》~九谷焼北前船など、
石川県加賀市の歴史や子どもの日常生活をテーマに
した児童文学作品を数多く発表した。人間が持つ
強さへの信頼、弱さも含めて受け入れる慈愛の
まなざしが作品に通底する。時を経てもなお、
色あせない輝きを放っている。」(小室亜希子記者)

~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

この紹介記事に刺激されて、図書館から借りてきた
『べったん横丁のおれ』(2003年8月15日発行)が
ちょうど私の手もとにありました。

当時、出版されたばかりの本。
ある小学生からのリクエストに応えて
購入したのです。

2003.9.22の日付で届いた先生のお手紙があります。

 「先日はご注文ありがとうございました。
 へたなサインを書いて恐縮いたしております。
 いっしょうけんめい考えて、
 書かせていただきました。…」

それで、二冊の本の見返しには
それぞれに、こんなステキな言葉が
書かれているのですよ。 

***

 津幡町のみなさんへ

  まちがあって
  子どもが いて
  おとなが いて
  やさしさが ある 

***

 津幡町の 
 子どものみなさんへ

  にんげんの
    やさしさが
  にんげんとにんげんを
    むすんでいく

~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

あれから18年… 村中さんの思い出は70年前…
つながるかな~
電話に出てくださるかな~
どきどきしながら、お電話したのです。
84歳の村中さんに。

《みるくぺーぱ》~風の旅~

☆図書館ではさまざまな出会いと、また、時には、別れもあります…

桜の花びらのような…Kさん…43歳… (『ひと言・人・こと』/2001.5.18)より

*・・・*・・・*

イニシャルのKさんは和代さん。

好物の食べ物は~?   
好きな音楽のジャンルは~?  
いちばん好きな花は~? 

ご家族や生い立ち、
彼女のプライベートなことについて
私はほとんど知りません。
一緒にお茶を飲んだこともないのです。
なのに、ある日突然、入院の事情を
知らされて私は絶句してしまいました。

*・・・*・・・*

図書館では、さまざまな物語が生まれる。
素敵なこと、不思議なこと、ワクワクすることや
多くの人は知らないけれど、哀しく、
ひっそりとした命のものがたりもあることを
日々の記録に一行でも書きとめよう、、、

祈りにも似た想いが、
『ひと言・人・こと』を書くきっかけの一つに
なったのだと思います。

* * *

翌年のお盆を迎えた頃だったでしょうか。
和代さんのお母さんと伯母さんが来館されました。

「町に根ざした図書館が好き(西川玲子)」
「貸出し数が55万5555冊/開館5周年の津幡町図書館」
「図書館の館長珍らし女にて出入りの人等に笑いふりまく(義風)」

図書館関連の新聞記事や投稿を
わざわざ切抜いて、一枚の紙に貼ってくださって、

その余白には、
「館長さん 有難うございました」の言葉と、
先だってしまった娘を偲ぶ歌と句。

「逆縁の別れとなりし子の位牌真ん中にポツリと空いた椅子一つ」
「惜しまれて花は静かに風の旅」

* * *
風になって…風の旅、を続けているのでしょう。

和代さんから手渡された読書感想文です。

 
 ~ ② ~

千葉敦子 著『”死への準備”日記』を 読んで

フリーランサーのジャーナリストとして. 
ニューヨークで. 女性ながら一人で
 自立した生活をおくり. 6年以上にわたる癌との闘病生活の中で
14冊の本を出した. 彼女の最後の本が これです.

病気の進行. 死が 目の前にせまりくる中での 生
ニューヨークの高層アパート で 時代の最先端を見て.聞いて.
考えることを望み. 自分の病をも. 最新の医療への挑戦とし. 
それを仕事として 書き残そうと走り抜けていった人.

同時進行として側にいる人ではなく.
本を読む手段を通してなので
この人の生き方を全体から見おろすことが出来た.

彼女の写真が一枚. 強く輝く 大きな目。きっと. まっすぐな
視線で. エネルギィシュに 話をする人だろう.
こんな人もいた ということをきちんと知り

 そして. 私は....。もっとゆっくりと 病をいとおしむ.
   田舎のあぜ道でいい. 野に咲く花を愛でながら.

                          ○○さんへ      和代

《みるくぺーぱ》~透光の樹~

和代さんから渡された二枚のハトロン紙がある。
A5サイズの褐色の紙に、横書きで、
彼女らしい細かな文字が連なった読書感想文。
1999年の春に書かれた一枚と
おそらくその翌年頃の一枚。

20年、眠っていた彼女の想い…を

ブログを始めたおかげで、
こうして紹介できます。

~ ① ~

小説の中に知っている場所が描かれていると
映画のように. 心の中の視覚が広がり 楽しみがふえます。

ひそかな高樹のぶ子氏のファンでありつづけた 私。
待っていた新刊を読み驚きました。
ページが進むにつれ. 唖然とし. ドキドキとし.
どうして.. どうして. こんな本が あるの~ と。

私の生まれ. 育った場所. 地方のかたすみの町。
ひっそりとして. 静かで 古い小さな家が立ち並び
父と母が 二人で暮らしている街。
その路地に. 主人公の千桐が生きていて. 息づいていて.
悲しんでいて. それでも 歩いている. 迫ってきます.

「透光の樹」

六郷杉を舞台とし. その木の下に
一人でたたずんでいる千桐。 
心と体がだんだんと病んでいきます。

人の短い一生. 幸せ. 寂しさ. 千桐のことを
「樹」だけが知っていて刻んでいます。

~~~~~~~~~~
おもしろかった.
ずーと一人じめして本をかりていました.
慎んでおかえしします.
ありがとうございました.(4/20)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。