小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

人とくらしたワニのおはなし

「雪すかしに明け暮れた2月でしたが、今日は暖かくなりそうですね。スペインに住む友人のYさんから紹介された本です。」

とっておきの情報を教えてくれたのはモモリンさん。

『人とくらしたワニ カイマンのクロ』(福音館書店/2022.2.10)

Yさんの友人、マリア・エウへニア・マンリケさんが書いた、
ベネズエラで本当にあった話、ほやほやの新刊です。

NHKのチコちゃんを見ていたら、卒業証書を入れる丸筒がなぜワニ柄なのか?という話題を紹介していました。こんなところにもつながってるのが驚きでした。ワニ皮が日本でも高級感があって人気が出て、皮を取るためにどんどんワニが捕えられていることに気付いていなかったです。なんの疑問も持たずに、小中高校を卒業した私ですが、ベネズエラでは学校に行けない子供がたくさんいるとか。とどろきしずかさんの訳が優しくていいです。福音館のホームページに轟さんのエッセイが載っています」

図書館にリクエストしてくださったとのことなので、私もすぐに予約しました。
(県内では津幡を含め7館が所蔵)

* * *

(2022.1.22ブログ)《おんせん図書館みかん》も若い彼女からの情報でした。

「高岡さんの美術館へも行ってみたいです。もう少しコロナが落ち着いて春になったら、電車に乗って、一緒に行ってもらえますか?山代温泉図書館ツアー!」

ええ、ご一緒しましょうねぇ~♪

先日、モモリンさんのメールにはそうこたえたものの、
高岡嘉久記念美術館はどうなっているのでしょう。実はもう電話が通じないのです。

戦争は悲劇です

次々に本を読んでいました。
その中の二冊は、戦争を描いたもの。


☆『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(武田一義/原案協力:平塚柾緒(太平洋戦争研究会)/白泉社

「第46回漫画家協会賞優秀賞」を受賞した作品でした。
「可愛らしい温もりのある筆致ながら《戦争》という底知れぬ恐ろしさと哀しさを深く表現して見事です。」と、ちばてつやさん直筆の賞状が掲載されていました。漫画は『はだしのゲン』など他何冊か読んだことがあるだけで、読みなれるまでにちょっと時間がかかりました。

「主人公は漫画家志望の気の良い男で、画面は幾分可愛らしいキャラで描かれ、劇画調ではないので、幾分ストレスは少ない、が描かれた内容は厳しい。」「この漫画を描いた武田さんは、まだ若い40代だ。こうした作品を書ける能力と意欲にただ敬服する。またこの漫画が戦記物としては異例のヒットをしたと聞くと、なぜか嬉しい気持ちになる。」(zukunashitosanさんのブログより)

全11巻を読み終えられたという言葉に俄然読む気になって、4巻まで読んだところです。ペリリュー島、、、これまで記憶になかった島でした。穴水図書館からの貸借本なので、迷惑がかからないように分けてお借りしています。


☆『シベリアのバイオリン―コムソモリスク第二収容所の奇跡』(窪田由佳子/地湧社/2020.1.25発行)も教えていただいた一冊。
こちらは七尾市中央図書館より借りることができました。(県内では金沢市野々市市)父や友人、バイオリンにまつわる実話に基づいた物語。極寒の地シベリアでの過酷な労働に耐えて生きぬいた記録です。

…どんな理由があっても…戦争だけはやってはいけない…

* * *

北京五輪の最終日のフィギュアスケートのエキシビジョン、羽生クンの「春よ、来い」は、「平和への祈り」そのものでした。たまたまのチャンスで録画したその4分間を、くり返し見ながら、心から祈らずにはいられませんでした。香港のこと、ミャンマーのこと…そして、ウクライナのこと。しかし、、、その翌日の2月21日、ロシアはウクライナ東部の2州の独立を宣言したのです。

大変なことにならなけらばいいが、、、娘たち家族がEU加盟国に暮らしていることもあって気がかりで、関連の新聞記事に目を通しては秘かに心配していました。


― 中日新聞の1月の見出し(日付は現地報道と2日のずれがあります) ―

24日☆米ロ外相会談不調/ウクライナに親ロ政権画策/米大使館員家族退避も

25日☆ウクライナ問題高まる緊張/NATO東欧に部隊増派 米も軍派遣検討/米・英大使館員家族ら退避命令

26日☆ウクライナ緊迫 外交努力を継続/米 軍8500人の派遣準備/ロシア バルト艦隊20隻出港/パリで4ヵ国協議へ(仏・独・ロシア・ウクライナ)/ウクライナの邦人に早期の出国呼び掛け(松野官房長官

28日☆米ロ隔たり埋まらず/ロシア軍黒海演習開始/米欧、NATO拡大禁止を拒否/ロシアの懸念重視し解決を(中国・王毅外相 米と電話協議)/ウクライナ東部「停戦を」(親ロと政府軍 仏独など4ヵ国協議)

29日☆米「ロが来月にも侵攻」 ウクライナは沈静化躍起(両国首脳電話協議)/プーチン大統領なぜ強硬?領土奪取に自信か 「アフガン撤退での米国混乱が影響」米紙分析/「安保理の公開会合を」米大使館要請 足並み一致は困難

30日☆米「近く東欧へ部隊派遣」ロシアのウクライナ侵攻に備え/エネルギー供給EUと協力確認/米欧の回答に不満(仏ロ首脳会談でプーチン氏)

31日☆北京五輪前後の攻撃危惧 「ロシア08年夏季→グルジア戦闘◇14年ソチ→クリミア併合」/ 中国「話し合いで解決」求める

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五輪開会式のウクライナ入場時には「寝たふり?」のプーチン氏、それから6日後、ロシアはベラルーシ合同演習を開始し、とうとうウクライナに侵攻してしまいました。

最悪の状況を回避する手だてはないものでしょうか。固唾をのんでみつめています。

『雪国のスズメ』に逢えました

気象予報の通り、昨日は雪が激しく降りしきる日。
相互貸借で借り受けた本の期限がきてしまって、雪の中を出かけました。
もっとじっくり読んでいたいけれど、相互貸借本の延長は望めません。

* * *

『雪国のスズメ』(佐野昌男/精文堂新社/1991.4)
1974年刊の新装・復刊 サイズ19㎝、236P

50年も前に書かれた、一見地味な本…
どうしてこんなにも心動かされるのでしょう。
わくわくするのでしょう。

「…大の男がたかだかスズメのために時間と金のほとんどを費やし、13年もの間、しつように追い続けてきたものは何か…」と著者は語りかけます。教師の傍ら、豪雪地帯の山奥の集落に通い続け、スズメの生態を根気よく観察し、数をかぞえ、丹念に記録し、夢中に調査する姿に心打たれます。スズメ愛に満ちたひたむきな情熱がひたひたと伝わってきます。

 

自然破壊について、深く懸念されている言葉にも共鳴しました。

「最近、いままで人間がたやすくはいって行けなかった奥地にまで、安易に山を切り崩して車道を通し、大勢の人間を送り込んでいます。しかしその必要はないとわたしは思います」「人びとの感激を大切にする以上に、奥地には手をふれず、厳重にその自然を保護していくことのほうが大切だと思っています」

zukunashitosanさんのご紹介のおかげで、いつまでも心に残る本に出逢えました。

* * *

県内では、加賀市能美市輪島市、そして今回貸してくださった羽咋市の四館のみが所蔵しています。書庫に眠っていた本を表舞台に引っぱり出す機会が生まれるのはうれしいことです。この本はかなり専門的に踏み込んだ内容もありますが、児童書として分類されているので、これまで一般の方が手にする機会は少なかったかもしれません。
(シグナスの図書館の配架計画にあたり、科学分野の書架等について、児童、大人の枠を越える「混配」を提案させていただきました。)

セレンディピティから生まれるもの

先日の夫の話は楽しげで、面白くて・・・ふわふわ夢のような話!!実現したらいいな~と信じたいきもちでいっぱいだけれど、、、かつての割烹着姿の研究者の方の件がちらっとよぎって…。

* * *

ふと「セレンディピティ」という言葉を思い出しました。
今は亡き酒井弥先生(理学博士/酒井理化学研究所)が書いてくださった小文です。

 

~~ セレンディピティのすすめ(2000年夏号)~~

 セレンディピティという言葉は普通には「掘り出し上手」とか、「あてにしなかった物を偶然に見出す才能」と訳されている。この言葉の出所は「セレンディプ(セイロン、現在のスリランカの呼称)の三人の王子」というおとぎ話があり、この三人の王子が絶えず巧みに行動して次から次へと珍しい宝物を発見するということに因んでつくられたものである。「思わぬものを偶然に発明する能力」「思わぬ発見をする能力」という意味にも使われる。つまり、このことは何か一つ新しいことを考えてやろうと思って見たり聞いたり話したりしているとき、パッとヒントを得て新しい発見や発明をすることをいうのである。
 身近なセレンディピティの例として瞬間接着剤の発見がある。イーストマン社の研究所で偶然にある物質の接着性能に気付き、そこで手当りしだいにいろいろな材料で試してその接着性を確認したのが瞬間接着剤誕生のきっかけであった。歴史上偉大な発見は多かれ少なかれ、こんなケースが多い。

 

* * *

『図書館報』の《科学随想》コーナーで、1999年春号から23回にわたり連載しましたが、2004年11月6日、68歳で永眠され、その年の秋号が最終回となりました。 

・・・☆・・・

①あなた、寄り道してますか
②水の不思議
③オイシイご飯の炊き方
④オイシイ石焼きいも
⑤人間の寿命
セレンディピティのすすめ
⑦猫は電子レンジで乾かさないで
⑧走り出すときと止まるとき
⑨趣味はなんですか
⑩聞くと見るとは
エジソンに学ぶ
⑫コンピュータ無情
⑬光る泥ダンゴの秘密
⑭不老不死の薬は炭(スミ)だった
⑮科学の原点はセンスの良さにあり
⑯頭の柔軟性は連想から
⑰皆んながそれぞれ違って価値がある
⑱誰が言っても好きは好き
⑲クラーク博士の開拓精神
⑳落ち葉と天気予報
㉑三日、三年、三十年
骨粗鬆症の予防には数滴のにがりを
㉓松茸の香り

・・・☆・・・

現図書館のHPに『図書館報』№1~№27がUPされれば、一度に読んでいただけるのですが…残念至極!
機会を見つけては、先生の随想を紹介しようと思っています。

必ずコップ一杯の水分を

一週間ぶりにスウさんの《紅茶なきもち》を開いて
あ~なんてこと…と、びっくり!!

2月5日、なんともヘルシーな大ご馳走の写真に見惚れたばかり、
なのに、、、今日のブログには、なになに?
「紅茶の時間しばらくお休みします」・・・のお知らせです。

2月7日に倒れた?
左目の下の凹みのとこ2箇所と下顎のとこ骨折!!

もうドキドキしてしまって
慌てて読み進めると、、、

スウさんがお風呂屋さんで気を失って
救急車で病院に運ばれるという大事件でした。

この一週間にそんな大変なことが起きてたって、
ちっとも知らなかった。。。

 

日曜日に退院して今はおうちにいると知って
口を開いても大丈夫かなと心配しながらも
おそるおそる電話をかけてしまった。
折れた骨がずれてはいけないので、ちょっとだけ。


命に別状なくて、ラッキーとしか言いようがないねぇ。
いつもエネルギッシュなスウさん、
しばし休息が必要ということかも、ね。

* * *

「入院中につらつら考えた、私のリカバリーに向けての養生プラン」
鍼灸は施術する人と患者との協働作業で、
私自身の治るちからを引き出してくれるもの、って思っている」

* * *

どんな状況をもみごとに受けとめて一歩前進するスウさん
いいね! いいね! 

(みなさま、入浴前後に水分補給をくれぐれもお忘れなく!)

 

夫のはなし

娘のお薦めで読んだ
『ツボちゃんの話:夫 坪内祐三』(佐久間文子/2021.5)

2020年に急逝した夫への想いが
そのまま率直に書かれていて、しみじみした本でした。
その中にある中学の同級生という理由で、
遠くの歯医者さんまで通っていたという話も好きです。

私の夫もそこは似ていて、往復150㎞もなんのその、
竹馬の友を頼りに通っています。
その帰りには、きまって安倍川餅や水ようかん、、、
好物の甘い名物を買ってきます。

この前の火曜日には、それに加えて
清々しい香りの水仙の花束と
Specialおみやげまでありました。

*~*~*

それは、化学者、発明家、冒険家、社会起業家、、、
ラジオから流れた現役東大生の「村木風海」さんの
二酸化炭素の研究の話。

やっしーとか、そらりん計画とか、、、
ロケットじゃなく気球に乗って成層圏
地球を守り、火星を拓く、、、
初めて知ることばかり、驚くことばかり

弁舌が爽やかで、話もとても分かりやすい。
紹介した歌もなかなかよかった。
あんまり面白くて、感心しながら、集中して聴いて…
一時間があっという間だった、、、
事故を起こさなくてほんとうによかった。

歯の調子もよくなって、安倍川餅を食べながら、
先月79歳になった夫は、それはそれは楽しそうに語る。
私にも聴かせたかったと。

*~*~*

あ、それなら、だいじょうぶ!
《らじるらじる》があるよ!(聞き逃し一週間OK)

 

村木さんの
☆サイエンスノンフィクション(挿絵はお母さん)
『火星に住むつもりです~二酸化炭素から地球を救う』

夫は早速、地元の本屋さんに注文しました。
私は、図書館にリクエストしました。

ある鍛金作家との出会い(その三)~足跡

自画自賛~と笑われそうだけれど『ひと言・人・こと』は図書館の検索カレンダーとしてなかなかすぐれものだと思う。たった四年間の情報発信に過ぎないが、知りたいことをキーワードで検索すると みごとにヒットすることがしばしばあって、その便利さに我ながら感動する。

* * *

高岡さんのことでもそれを実感した。
たしか高岡さんのことを書いたはず、そうだ!と思い当たり検索してみると、以下の記事を瞬時に探し当ててくれた。


・・・【2003.5.1(木)】・・・
☆今日、祖濱さんから届けられた「宇郎居抄」5月号を見て、思わず目をみはりました。加賀市高岡美術記念館の高岡嘉久さん(78歳)のことが記されていたのです。6年前、著書のご寄贈がご縁となって出会った方です。祖濱さんのお陰で、このところ気に掛かっていた高岡さんの元気なご様子を知ることができました。出会い、つながりの不思議に心がふわっと春色になった日。

* * *

「宇郎居抄(うろこしょう)」は、元新聞記者だった祖濱賢太郎さんが、平成13年7月から友人・知人に向けて毎月発行していたB4の「お手紙」です。記憶にあるそのファイルをようやく見つけました。高岡さんと岡本太郎さんのつながりについてあらためて知りました。

・・・・・・・・

「宇郎居抄」(第23号平成15年(2003)5月) 祖濱賢太郎

 一度見たいと宿題のように思っていた作品を過日金沢市の明成小学校で見せてもらった。加賀市山代温泉高岡美術記念館主で金工作家の高岡嘉久さん(78)の鍛金作品「足跡」である。高岡さんは金沢駅前の木ノ新保に生まれ旧此花小学校を卒業、先代からの鉄工業界で活躍したあと作家活動に入った。母校が平成七年に統合し明成小学校となったが、母校の消える少し前に自作品を寄贈したのだ。大阪での日本万国博太陽の塔建設にたずさわり岡本太郎と出会ったことが人生の大転機となった。 芸術家と鉄工技術者の立場の違いから激論を戦わせ、そのおかげで肝胆相照らす仲となった。批判的知性をもて/人生は一期一会、そのとき思ったことを正直に吐き出さないのは卑怯/陰徳を積め/七十歳を過ぎても病気にかからないのは健康病だ/などと毒舌を地で行く人だ。「足跡」は岡本太郎のデッサンを高岡さんが鍛金で仕上げた。強烈な個性ふたりの合作だが、実にユーモラスでほのぼのと温かい作品であった。

 

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。