小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

庭で羽黒蜻蛉は何してる?

夕方のことです。
庭の地面の上で、何か小さな黒いものがちらっと動いています。
ガラス越しに目を凝らすと、それはどうもトンボのようでした。

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小さい頃、夏休みに田舎の叔母の家に遊びに行くと、
近くを流れる川面をひらひらと飛んでいたトンボです。

長らくお目にかかることがありませんでしたが、
ついこの間、家の前の用水の上を飛んでいるのを目撃しました。
たった一匹でしたが、昔を思い出す懐かしい情景です。

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そのトンボが、地表の何かを探すような仕草で動きながら、
ときどき、ゆっくり翅を広げたり閉じたりしています。

庭で…何をしている?

メガネをかけてもよく見えない。
双眼鏡を持ち出したけれどわかるはずもなし。

トンボらしく翅を広げた姿を夫にも見せたくて、
スマホでパチパチ撮っていると
夫がちょうど帰ってきた。

夫:何してる?

私:ほら、あそこに…トンボ!

しばらく一緒に観察して、
たぶん、小さな虫を食べている?んじゃないか
ということになりました。

そういえば昨日、夫が草刈り機で草を刈ったので
庭が少しばかりすっきりしたのです。
それでトンボも虫が探しやすくなったのかな。

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この黒いトンボは、たぶん《ハグロトンボ》。
ネット情報によると《神様トンボ》とも呼ばれていて、
それは、

〈稲につく害虫を食べてくれる田んぼの守り神〉〈ご先祖様、亡くなった人の化身…ちょうどお盆の頃に飛ぶので〉〈黒い羽根を開いたり閉じたりする様子が手を合わせて神様に祈りをささげる姿に似ている〉

などの理由があるそうです。
縁起がいい、幸運が訪れるといわれる羽黒蜻蛉。
川だけじゃなくて、庭にもやってくるなんて、
この歳になるまで知りませんでした。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。