いよいよ今日から臨時国会が始まりました。
心を捉えた二つのコラム(北陸中日新聞)を紹介します。
どちらも「国葬」に関するものです。
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国葬当日のコラム《言わねばならないこと》は、看護師の宮子あずささん。今から中止にできる可能性は低くとも、自分の意志を示し続ける意味は決して小さくない。市民の良識にもとづき最後まで反対しますと宣言する内容でした。
反対する一番の理由は国会の議決を得ていないこと、さらに、概算で十六億円ともいわれる費用。
「ある患者さんは、生活保護を受けるため、資産状況を細かく報告している。残高がわずかな通帳のコピーまで添付しているのを見ると、不都合な記録は「捨てた」と隠蔽する国への怒りが募ってくる。市民に対しては細かく報告を求め、厳しく審議する一方、政府の支出には審議も報告もなし。国葬はまさに理不尽の象徴である」と。
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そして昨日のコラム《視座》は関口宏さんのサンデーモーニングでもおなじみ、法政大前総長の田中優子さん。
「拝啓安倍晋三様。国葬が終わりました。おかげさまで国葬までに実に多くのことが分かり、またあなたさまの言動を改めて思い出すことになりました。」から始まる1400字ほどの書簡文である。
国葬の問題点を、わかりやすく、丁寧に、的確に指摘し、
安倍政治に潜む「将軍的野望」、ファシズム誕生について言及する。
戦前の憲法に逆戻りさせる改正草案は、将軍的欲望が日本の歴史上実施してきた制度設計そのもの。それさえやっておけば、権力も権威も軍事力の増強も思うがままなのだと説く。
そして「私は日本がその道に突進することに決して同調せず、考え続け言葉を発します。二度と日本に将軍的野望が横行することのないよう、憲法が求める「不断の努力」を続けようと思います。」と宣言する。
~~「拝啓・安倍晋三様」より一部抜粋~~
「国葬は、それを実施した主体が権力のみならず権威をその身にまとおうとする行動…その行為はまさに、あなたさまの生前の言動に直結しています。」
ご自身の名前を冠する学校が建設されるのなら、国有地が安く売却されてもかまわなかったようです。
国民のものであるはずの公文書も、ご自身の権力と権威を傷つけるものであるなら、書き換えるのは当然だったのですね。
ご友人が望むなら国家戦略特区を都合する程度のことは当たり前で、支援者を増やすためなら宴会に税金を使うのも自然だったのでしょう。
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と、国民に向かって叫んだあなたの目に、彼らは何に見えていたのでしょうか?
「こんな人たち」が共産主義者などではなく、あなたの党の名称になっている「民主」主義を希求する「自由」主義者であることも、ご存じなかったのかもしれません。
民主主義の根本である国会での議論も軽視しましたね。仕方ありません。あなたは家業を全うするために政治家になり、その努力の目的は国民のためではなく、共産主義者と戦って御祖父に褒めてもらうことだったのですから。あなたと強い絆で結ばれていた宗教団体と同じく、あなたにとって大事なのは「先祖」だったのでしょう。
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「拝啓・安倍晋三様」によって、政治学者・片山杜秀氏(慶應義塾大学法学部教授)の発言、それを辿って、9月19日東京大学國分研究室の主催で、「国葬を考える」と題して開催されたシンポジウムについても知ることとなった。
パネリストは、政治哲学を専門とする國分功一郎教授、東大の石川健治教授(憲法学)、京都精華大の白井聡准教授(政治学)、慶応大の片山杜秀教授(政治思想史)、同志社大の三牧聖子准教授(国際政治学)「全国霊感商法対策弁護士連絡会」代表世話人の山口広弁護士。(発言をネットで読むことができました)