小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

磯田道史さんからいただいたもの

秋山ちえ子さん、中谷彰宏さん、高畠純さん、酒井弥さん、そして「出会いの夕べ」のゲストとなった著者の方たち、、、図書館には他にもたくさんの方からのサイン入り寄贈本があります。サイン本は著者がより身近に感じられる“特別な本”です。

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武士の家計簿~「加賀藩御算用者」の幕末維新』のサインは、特に懇願して手に入れたもの。会場で購入した一冊を手に、講演会のあとで(ちょっと勇気を出しました)図書館長と歓談されているお部屋を訪ねました。岸本館長さんが小さな図書館をとてもあたたかく紹介してくださいました。当時33歳の磯田さんは、にっこり、しばし考えて


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津幡町立図書館様

天下の書府にて    (縦書き)  

平成十五年十一月十四日(縦書き)

磯田道史

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筆で堂々と書いてくださいました。
それで、2冊のうちの一冊には、磯田さんのサインがあるのです。
(今も、図書館で出会えますよ)

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そして、嬉しいことはこれだけではありません。
お帰りの新幹線の中ででも、どうぞご覧くださいませと、
あの2003年春の『図書館だより』をお渡ししたのですが、
それから1週間も経たないうちに、磯田さんから一枚の葉書が届いたのでした。

12行にわたって、細かな文字でびっしり書かれた「宝もの」
20年目にしてこうして公開する機会がこようとは思いもかけないことです。

あれ以来、私は磯田さんの熱烈なファンのひとりです。


・・・磯田さんからのお葉書・・・

前略、武士の家計簿の磯田です。先日、町立図書館の館報をいただき、東京への帰路拝読して驚きました。人口3万5千人で、蔵書5万冊。そこへ、登録一万三千人とし、貸出冊数を実に13万冊もはじき出している。館員さんのご尽力のほどがうかがえます。1日館長、町民参加型のボランティアなど〇〇さんたちの御活動が尋常でない。全国的にみても最優良の図書館であることは館報を一読してわかりました。石川県立図書館は専門性こそ高いのですが、15万冊/年の貸出です。館長さんと、建物構造のせいもあるなあと話しました。また県立図書館と市町村立図書館の相互貸出についても話し合いました。「金沢→珠洲(すず)間が、利用者が注文して本が届くまで何日かかるのですか?」ときくと、「ときには7日以上かかる」とのこと。「移動運搬車は、コストもかかりおそいから外注して、宅急便の利用も検討されてはどうか」と、余計なこととは思いながら進言してきました。品物の到着が7日以上かかるなどは民間では考えられないことであり、改革はここからだと思います。これからもがんばって利用者本位の図書館に!草々

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。