小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

まどさん&アマビエ

毎週第2木曜日は「詩をたのしむ」。
参加者は3、4人、ときには5人になることもあるけれど、二人っきりのときがあったりのごく少人数の読書会です。紹介したい詩の本を持ち寄って、その中からふっと目にとまった詩を声に出して読む、すてきな言葉に出逢える時間。水野スウさんを中心に小さな図書館の時からずっと続いています。

小さな図書館の最後の年の3月に初参加されて以来、金沢から電車に乗って毎回参加しているひろこさんは、素敵な詩を見つけてくる名人!です。金沢のあっちこっちの図書館で出会いの本を探し出しては紹介してくださいます。

残念、6月も読書会ができませんねぇ…そんなひろこさんから「詩の時間がお休みなので、ひとりで詩の朗読をしています」のお手紙が届いています。

「この前、まどさんの本を読んでいたら、【ガーゼ】という詩がありました。ガーゼにまで心を寄せられるまどさん、あらためてステキだなぁと思いました。【くちびるたいそう】は毎日役立ちそう。やっぱりまどさん、すごいです。お会いできる日を心待ちにして…」そして、二編の詩が書き写してありました。
・・・・・・・

「ガーゼ」

ワタの糸と 空気の糸とが
格子に織りあげただけのように
見えるけれど…

ガーゼの すみきった目には
ありもしない敵と味方の区別などは
見えはしない
そこにある 傷口と
そのために泣いている生命(いのち)だけしか

ガーゼは傷口によりそい
生命をまもりぬく
まっ白く あかるい
花びらのようなやさしさで
どんなに どす黒く重たい
武器たちの にくしみからも~~~(略)


「くちびるたいそう」

わらわないで できるかな
くちびるたいそう
は は はひふへほ
ほ ほ ほへふひは
ははは はほ
ほほほ ほは
できたできた

あわてないで できるかな
くちびるたいそう
ぱ ぱ ぱぴぷぺぽ
ぽ ぽ ぽぺぷぴぱ
ぱぱぱ ぱぽ
ぽぽぽ ぽぱ
できたできた~~~(略)

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もつれないでできるかな、まごつかないでできるかな、と
「したべろたいそう」が続きます。
私も夫も、もつれて、まごついて、大笑いしてしまいました。

ひろこさんのまたの名は、栞の作家・きりりんさん。
同封されていた栞には、真っ赤な貼り絵の甘海老に「まちがえないでねぼくはアマエビ」とある。え、なんのこと?と裏をひっくり返したら、人魚のような不思議な貼り絵「アマビエ」??!!水木しげるさんの人気急上昇中の妖怪の名前なんですねぇ。

耳の髪留めがキラリと光って可愛い!これは疫病退治に効き目がありそうです。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。