小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

町家カフェでは出逢いがうまれる

久しぶりに!小さな図書館から発信していた《ひと言・人・こと》や読書会のことについて語る機会がありました。居心地のいい空間は、人の心を開放し、糸を手繰り寄せるように繋がっていくものなのですねぇ。

それは、昨日、金沢東山の《豆月》さんでのひととき。

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大雨の影響で、思いがけずその日の予定がぽっかり空いて、
なんとなく気になっていた「広津里香 詩の朗読会」に、
友人のひろこさんを誘って申し込んだのです。
昭和13年生まれ、高校時代を金沢で過ごしたという広津里香さん、
29歳の若さでこの世を去った詩人・画家。

広津里香さんを記念して第10回目となる
高校生による「創作詩」の表彰式イベントとはつゆ知らず、
でした。はるばる来沢した甥っ子さんのお話もありました。

石川四高記念館での10人ちょっとの不思議な体験のあと、
バスに乗って向かったのは《豆月》さん。
ひろこさんから素敵なお店!とお誘いを受けていたお店。
いつかご一緒にね~、が、やっと実現しました。

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路を一本まちがえて迷った私たちを、
かどっこまで走って迎えに来てくださったのは店主、
楚々としてやさしげな北出美由紀さん。

ひがし茶屋街から二つほど路地を隔てた隠れ路に、
控えめな看板の「豆月」はありました。

美しい涼しげな器、梨入りの甘酒。
初めていただくスープはほんのり甘くて美味しくて、
暑さと疲れを忘れてしまいました。

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ガイドブックを眺めている女性の先客がいました。
「どちらから?」

心優しいひろこさん!ですね。
何かお役に立てることがあったらと、
声をかけたのがきっかけでした。
その方は地元の方、今日は自転車で来られたそうでした。
お連れ合いとはそれぞれに自由に自分の休日を
だいじにして過ごしていらっしゃるんだとか、
津幡の街ともご縁があるというみちこさん。
またいつかお逢いできそうな気がします。

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入れ替わりに来られた若いかたは
ひとり静かに本を開いています。
私たちは次なるデザートを選びながら、
「スウさんの手づくりの技」の
みごとさを小声で話していたのですが、、、

「すみません。もしかして、、、?」

こんどは~!
あちらから声をかけられたのでした。
端々に出てくる「スウさん」の名前を
敏感に耳がキャッチしてしまったそうです。

初対面のはるなさんのはずでしたが、
スウさん宅の特別紅茶でそのときを共有した事実まで
判明したのです。ちょうど昨日から、心の中で
水野スウさんのことを考えていたというはるなさん、
わたしたちまでうるうるになりました。

こんなことってあるのですねぇ。
この日、この時間に、《豆月》さんに来なかったら、
出会えなかったかもしれない素敵な方たち。
そして、ひろこさんから辿っていくと、
「山猫たろう・はなこ」さんが登場する!
という不思議なつながり。


私はすっかり《豆月》さんファンです。

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【祖父母から伝わる豆仕事を軸に、
町家カフェで昔暮らしの魅力を発信】(いしかわ起業小町HPより)

豆月:北出 美由紀さんプロフィール
東京都出身。大学を卒業後、雑誌出版社に就職。編集・取材・撮影・デザイン等の業務を経験する。19年間の勤務を経て、2015年、建築家の夫とともに金沢市に移住。東山の町家を自宅兼設計事務所兼カフェに改修後、2016年、豆をテーマにしたカフェ「豆月」をオープン。工芸作家の器でいただく豆スイーツや、加賀野菜や果物、醤油、豆腐など地元の食材を用いたメニューも喜ばれている。茶会「月ノ樂釜」も共同主宰、伝統文化や和菓子にも親しんでいる。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。