一人のアメリカ人女性との出逢い。。。
彼女と出逢っていなかったら、
小さな図書館はどんなふうだったろうか。
オープン前の準備が続く、5月のある日でした。
町長室をお訪ねした時、町の国際交流について話が及びました。
役場に外国人がいることで、職員は日常的に異質な言語、文化に触れ、
国際化を意識する一歩となるのではと、私は考えていました。
国際交流について模索されていた町長さんも全く同意見とのことで、
ぜひ適任者を紹介してもらいたいと、話は着々と進みました。
町民の皆さんが初めて出会うことになる国際交流員!
ひとり、意中の女性がいました。
日本語のプライベートレッスンで知り合った彼女は、
6月に一年間の県立高校の勤務を終え、その後はフリーで、
別のアジアの国で女性を支援するような仕事を探す予定でした。
「日本の文化、習慣をもっと知りたい。日本語も上手になりたい。」と、
町長室での面談はスムーズに運び、彼女は国際交流員として迎えられました。
8月2日の地元新聞には、
「単独では県内初めて 独自の交流員制度 津幡町、米国人女性が着任 本格的国際化へ第一歩」(北國)「津幡に初の外国人の職員」(北陸中日)…こんな見出しで、写真と共に大きく紹介されました。
4月までの9ヵ月、総務課に籍を置いて、彼女は期待以上に務めを果たしました。
とりわけ、すばらしい活躍の場となったのは図書館でした。
毎週水曜日、あの黄色いエプロンをして、マキシンさんは図書館員!!
深い目、優しい笑顔で、本の貸出や返却をしながら、英語、時には日本語を交えて、
みんなに親しく声をかけました。
小さな子どもたちから、中、高生、お年寄りまで、
マキシンさんに会いたくて、話したくて、図書館に来る人が増えました。
1996年の夏、こうして、小さな図書館の国際交流は幕を開けたのです。