『言海』(ちくま学芸文庫)は福井県立図書館から、『言葉の海へ』は県立図書館、
相互貸借本として届いた本である。友人から紹介された『あなた 河野裕子歌集』
(永田和宏・永田淳・永田紅/岩波書店)、絵本『ありがたいこってす』
(マーゴット・ツェマック/童話館)も県立図書館から。
図書館のおかげで読みたい本が自由に読める幸せ…ありがたい!
大抵の図書館では、求める本が既に貸出されている場合は《予約》、
所蔵していない場合は《リクエスト》というサービスがある。
その図書館で所蔵していない場合は「購入」、または「相互貸借」という
図書館間の協定を利用して他の図書館から借り受ける。
「えっ、買っていただけるんですか?」
小さな図書館時代、利用者からの驚きと喜びの声をよく聞いた。
「こんな本が図書館にあったらいいなと思って…」
利用者からの声で購入した本も何冊もあった。
日々のこんなやりとりを重ねながら、
図書館は豊かな森に成長していくのだと思う。
《リクエスト》は、個人の要求に目に見えた形で税金が使われる。
しかも、その利用者の声が図書館の充実のための好機ともなるのだ。
18年前になるが『戦争中毒~アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由~』の
リクエストを受けた。風刺コミックであり、まだ県内のいずれの図書館も所蔵して
いなかったが、新聞書評でも話題の本、リクエストに応える形で購入した。
当時、他の図書館からの相互貸借依頼が次々にあったことを思い出す。
今、『戦争中毒』を《横断検索》で調べると、県をはじめ10館近い図書館で
所蔵されている。かつて、小さな図書館がその先陣を切ったのは、利用者の
リクエストのお陰。。。他の図書館から貸出し依頼を受けるというのは、実は、
図書館にとっては選書力が認められる誇らしいことだと思う。
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・図書館にはたくさんの本があります。
この本はみなさんに利用されるのを待っています。
図書館で本に囲まれたら、きっと読みたい本にめぐりあえるでしょう。
めぐりあった本は、
みなさんが持っている力を引き出してくれるかもしれません。
新しい楽しみが生まれるかもしれません。
・もし、読みたい本がなければ、館員におたずねください。
図書館になくても探して、たいていの本はお貸しします。
わからないこと、調べたいことも遠慮なく館員におたずねください。
・県立図書館は、県内の市町立図書館を通じて、
県民のみなさんに本や資料をお貸ししています。
みなさんのまちの図書館に必要な本がなくても、
あきらめずにリクエストしてください。
県内の図書館がその蔵書をお互いに利用し合うしくみになっています。
・県立図書館は、各図書館の協力のお手伝いをします。
県立図書館は、まちの図書館にできるだけの援助をし、
滋賀県がおとなも子どもも自由に本を選び、読書を楽しめ、
また必要な資料はかならず入手できる県になるため、はたらきます。
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これは、図書館先進地といわれる滋賀県。
県立図書館の【利用案内】の冒頭、《滋賀県立図書館のはたらき》に、
なんとも分かりやすい言葉で、滋賀県の理念までもが謳われていた。
「図書館にない本でも、他の市町の図書館などから借りたり、
新しく購入したりするなど、できるだけご要望にお応えします。
ご希望があれば、ぜひカウンターへご相談ください。」
これは、県内の図書館HPで見つけた案内文。
ごく当たり前のことが書いてあるのだけれど、事務的ではなく温かい。
生き生きと働くスタッフの姿が想像された。
すてきな図書館に出逢うと嬉しくなる。