小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

『おらおらでひとりいぐも』

昨日は27℃という季節外れの夏日だった。
前日の新聞記事「秋色染まる並木道」のメタセコイアの光景に魅せられて、
夫は今しかないよ、見に行こうとしきりに誘う。
金沢市太陽が丘の並木道は1.5㎞も続いているという。

車の中でかけたラジオ、聞くともなしに聞いていると・・・
ん?なんだかすてきな声。温かい話しぶりねぇ。福井の言葉にも似てるねぇ。

…おらおらでひとりいぐも~~
あ、63歳で芥川賞受賞のわかたけちさこさん!
岩手の言葉だったんだ。

音量を上げる。耳を澄ます。。。
夫がなくなってからのこと、夢、ねもとさんの講座、執念…

そのうちに太陽が丘に着いてしまって、、、
ごめん、もうちょっと聞いていたい。

7,8分ほどで聞き終わって、大満足して、夫の後を追う。
並木道を散歩しながらスマホで撮った数枚の写真を見せてくれた。
30年前に植えられ、高さ20メートルほどまでにあるという樹々は、
晩秋の日差しの中で鮮やかなオレンジ色に輝いている。
夫は気に入った写真をスマホ友の娘に送るのも目下のたのしみ。

美しい秋のメタセコイアも見れたし、
脊柱管狭窄症悪化で激痛に襲われ歩行困難の事態に、おおいに懲りて、
今度ばかりはテニスも神妙にセーブしている夫につきあえたし、
ドライブのおかげで若竹千佐子さんの話が聞けたし、

私たちの憧れの方のお屋敷で収穫された銀杏が届いたり、
友人から噂の高級「生」食パンをいただいたり、

いいことづくめの一日に感謝!!

夜になって、芥川賞発表の『文藝春秋』(2018年3月号)を見つけ出して、
久しぶりに若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』を開く。
  
 あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが
 どうすっぺぇ、このさきひとりで何如にすべがぁ

「桃子さん」は私と同年齢、東北弁で始まる作品を読みながら、
どんな風に映画化されたのだろう?と思いながら、
うっとり眠ってしまった。

(コロナの感染者が二日連続で過去最多の2000人超だとか。)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。