《まちの図書館が消える》!!
中日新聞の社説見出しに衝撃を受けた。
「…失って初めて、そこにあることの大切さに気付く。…」
愛知県常滑市立図書館が老朽化し、来年には解体されることになるが、
「競艇収入に頼って次々と作ったハコモノが改修期を迎え…財政がひっ迫して」
新図書館建設のめどは立っていないという。
40年前には視察が相次いだという有名な常滑市立図書館は、
指定管理者制度を導入している図書館でもある。
図書館の指定管理者制度には利点もあるが、問題が多い。
日本図書館協会は一貫して、批判的、慎重な態度をとっている。
先日、県図書館大会が文化会館「シグナス」で開催された。
参加者は主に公共図書館、大学図書館、学校図書館、教育委員会などの職員、
幼稚園・保育園、読書会、子ども文庫、利用者など図書館に関係している人たち。
地元が会場ということもあり、私は午後の部に何年かぶりに参加した。
偶然にも、通路をはさんで隣の席に、道勝美さんがいらっしゃった。
かつて互いに県立図書館協議会の委員を務めていて親しくなって、
6年前には、出版された歌集を贈ってくださったこともあったけれど、
お会いする機会もないままに15年ぶりの再会だった。
「地元だから、もしかしてあなたも来られるかもとふと思ったのよ。」
ちょっとだけマスクを外して、変らぬ顔を見合わせ喜びあった。
講演会が始まるまでの待ち時間に、滋賀県の守山市立図書館
(隈研吾建築都市設計事務所)を見学した話に及んだ。
木がふんだんに使われた素晴らしい施設を前館長が案内してくれたという。
「あ、三田村悦子さんね。」…彼女とは知己の間柄である。
図書館長として福井から単身赴任して、守山の図書館を育てるために奮闘した。
新図書館は「本と人が出会い、人と人がつながる知の広場」をコンセプトに、
「木もれび広場」のギャラリーもあり、さまざまな文化・芸術・市民活動を促進し、
人と人がつながり、地域が活性化し、市民の文化度の向上を願って造られている。
「図書館は成長する有機体である」と三田村さんの退任の挨拶状にあった。
図書館は生きもの、職員と市民が共に力を寄せ合い育てている図書館。
何度となく見学のお誘いをいただきながら、その機会をとうとう逸して
しまったことが今更ながら悔やまれた。
1:00からは「学び」と「寄り添い」―図書館員の役割を考える―という演題で、
田村俊作氏の記念講演があり、続いてシンポジウム。
「学びを支援する図書館」をテーマに、3人のパネリストの発表があった。
地域の住民の課題をサポートし、積極的に向き合おうとする意欲がビンビン
伝わってきて頼もしく、図書館の無限のパワーを感じた。
あらためて、守山市の図書館基本計画書を読む。
”図書館の役割とは、市民の「知る権利」を保障し、
学習を支えることで人々が幸せに暮らすことを
支援することである。また、そのような図書館を
設置し運営していくことが市の責務である。”
本来、図書館の運営は自治体の責務であって、
図書館には指定管理者制度はなじまないとつくづく思う。
図書館が有ることの意味、
住民を支援し、学ぶ自由、知る権利を保障する意味は深い。