小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

毎日…あたらしい私

5ヵ月ほど前だったか、
《令和の寺子屋》プロジェクトというTV番組を見た。
会場は豊臣秀吉所縁の醍醐寺
生物学者福岡伸一ハカセが、
20人ちょっとの小学生に授業を展開した。

生命ってなんだろう?
全ての生物はなぜ必ず死を避けられないのか?
死の意味とはなんだろう?

シルクハットに蝶ネクタイ、
憧れのドリトル先生に扮したハカセは、
生命の不思議に迫った。

* * *

食べた物の分子は自分の体に取り込まれ、
同じ量の分子が分解されて排出されている。
昨日のわたしと今日のわたしは違う。
一年経つとほとんど入れ替わっている。

「やあ、お久しぶりですね。
お変わりありませんねぇ。」
いいえ、お変わりありまくっている、
別人です!


ウンチの主成分は食べかすが出てるんじゃない。
自分の消化管がボロボロ剥がれだして捨てられている。
トイレに行ったら、自分の体に、
ありがとう~さようなら~って言おう。


エントロピー増大の法則》や《動的平衡》論…
高度な難しい内容なのに、ユーモアいっぱい、
とても分かりやすい授業!

400年前の秀吉の排泄物が、めぐり巡って、
自分たちの体の一部になっているという実証に、
子どもたちは目を輝かせていました。

* * *

実は、6月4日、
なんと!そのハカセのお話を聴くことができたのです。
「石川県西田幾多郎記念哲学館」開館20周年記念の
《西田哲学と生命科学》と題した講演会。
偶然、新聞でハカセの名前を見つけて
早速、友人たちにも連絡。定員300名、参加費無料です。

ビッグ案内~”生”のハカセに出会えるなんて~と
友人も大喜び。至福の一時間半でした。

* * *

ハカセによれば、わたしたちの細胞は頑張っているらしい。
先回りして、自らを必死に壊して、
エントロピー増大の法則》に抗っている。
が、最後には死を受け入れるしかない運命にある。

「生命に有限性がある。有限であるが故に
意味があり、価値がある」

わたしの健気な細胞たちに感謝しつつ、
残された寿命をだいじに生きたいとあらためて思う。

・・・・・

生物と無生物のあいだ』『福岡伸一、西田哲学を読む』

『やわらかな生命』『生命の逆襲』『芸術と科学のあいだ』

フェルメール隠された次元』など、図書館所蔵。

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。