小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

『二平方メートルの世界で』~言葉は水~

Eテレの《ハートネット》はその名のとおり、あったかいきもちが伝わる好番組ですね。
先日、「言葉はめぐる」のタイトルに惹かれて見た番組で
絵本『二平方メートルの世界で』(小学館/2021.4)に出逢えました。

作者は病気で入院を繰りかえしていた前田海音(みおん)さん。三年生の時に書いた作文が、北九州市立文学館主催の「子どもノンフィクション文学賞」で大賞となり、それをもとに生まれた絵本です。全国の図書館、病院に置かれているとか。

図書館でさっそくリクエストをしたら
なんと、ちょうど入ったそうで大喜びして
その日の読書会《詩をたのしむ》で
かわるがわる読みました。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

「病院のベッドの大きさは
たて約二メートル、はば約一メートル。
そのまわりをぐるりと囲むカーテンの中が
入院中のわたしの世界のすべてで…」


病気の不安、家族への想い、切ないきもち、
あきらめ、孤独…
ある日偶然にも目に入ったのは
ベッドにまたがるオーバーテーブルのうらでした。

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「たくさんのだれかが、
たしかにここにいて、
わたしに語りかけてくれた。
ひとりじゃないよって」


そこには
寄せ書きのような言葉が
色とりどりの鉛筆やペンで
書きこまれていたのでした。

 

そして、この絵本を読んだ子どもたちも
また
自分の言葉を見つけていきます。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

心をのぞきこむよう、にこっとしながら
ゆっくりゆっくり、言葉を愛おしむように
六年生になった前田海音(みおん)さんが
ぽつりぽつり紡ぐ言葉がゆらゆら響く。

☆~☆~☆

どうして自分が病気になったのか

病気になるって一種のくじびきみたいな

神様が「だれを病気にしようかな」

って選んでるようなもんだから

☆~☆~☆

言葉は水

形を変えて いろんな意味になって

自分のもとに入ってくる

川で言葉探して 自分に入れてそう

魚捕まえるみたいに 言葉捕まえて

自分の使える言葉にしてそう

あらー 言葉流れてきた

☆~☆~☆


本が大好きな彼女が
今読んでいる一冊は
お母さんから譲り受けた
灰谷健次郎の『太陽の子』

ひらひら、ひらひらと
色とりどりの付箋が
あんなにいっぱい!!

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。