小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

賢治さんの恋ものがたり

先週の「宮沢賢治を読むつどい」の読書会は大盛況でした。
年度初めということもあってか13人が参加、
いつもの椅子では足りなくなって補充しました。

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その日は朗読劇『シグナルとシグナレス』のワークショップでした。

一番列車、電信柱、倉庫、そして7人のナレーター。
自己申告で役を選び、残ったのはシグナルとシグナレスです。
智子さんがシグナレスを選んだので
男性のシグナル役は細川律子さんに決まりました。


「ええ、とうとう、ぼくたちふたりきりですね。」
「まあ、青じろい火が燃えてますわ。まあ地面も海も。けど熱くないわ。」

宝塚歌劇さながらのみなさんの熱演、
律子さんと智子さんの息のあったやりとりに
可笑しくなったり切なくなったりして、拍手喝采
「信号」の不思議な恋の物語でした。

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妹のトシ、友人の保阪嘉内など
賢治さんの心を大きく占める存在については
今も、さまざまな方面から研究がなされているそうです。
3月にBSで放映された「業の花びら~父と子の秘史」は
父子の対立と和解の深淵を探るものでした。

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細川さんが紹介してくださった
宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』(新潮社/2011)では
沢口たまみさんが「賢治の恋」を書いています。
心から愛した4歳年下の女性、
相思相愛だった大畠ヤスさんの存在について。

賢治さんも恋をした…
切ない恋を体験している…

そんなふたりの思い出を綴ったと
されている文語詩があります。


「君にならびて野にたてば」

君にならびて野にたてば、

風きららかに吹ききたり、

柏ばやしをとゞろかし、

枯葉を雪にまろばしぬ…。
          

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読書会の常連のはるみさんが声をかけられて、20年以上もお目にかかることのなかったFさんが金沢から初参加。日本語講師のときの先輩です。ちっともお変わりなくて、マスクをしていてもすぐに分かりました。ショートヘアの私、ずいぶんイメージが変わったかもしれません。

愉快な読書会でした。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。