「校正」といえば、「プロフェッショナル」で知った大西寿男さん。出版物を支える重要な人、まさに「縁の下の力もち」。決してその名が表記されることはないけれどなくてはならない存在で、作者、編集者から絶大なる信頼を得ている方と知り、そのお仕事ぶりの深さに感動しました。
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私がちょっぴりお手伝いをした「ふるさと再発見」のゲラ刷り原稿は、平成16年(2004)5月14日に届けられました。お役に立ちたいと目を凝らして二点ばかり見つけましたが、あとで、他にもいくつかあったことを知らされがっくりしたのを覚えています。丁寧なお仕事をされる影山さんの「仕事の合い間に、気楽に」は、負担にならないようにという気配りに加え、谷口さんの著書に学ばせたいという親心のようなお気もちが大きかったのではと今になって推察されます。
著者の谷口正幸さん(石川県公民館連合会顧問、元鶴来町立博物館長、鶴来町史編纂室長)とは、県立図書館協議会委員として、9年近く、その会議に同席させていただきました。真偽のほどは定かではありませんが、義足なので羽織袴姿でいらっしゃるなのだと耳にしたことがあります。毅然として、威厳があり、その発言はみなさんから一目おかれていました。が、小さな図書館のよき理解者、なにかと温かい言葉をかけてくださいました。会議に出席する際『図書館だより』最新号を手土産代わりにお渡しすると「ほんとによう頑張っとる!」と目を細めてくださったものでした。
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2004.12.17(金)の『ひと言・人・こと』に次の記載がありました。
「影山さんがわざわざ届けてくださったのは、11月に刊行されたばかりの『ふるさと鶴来再発見』、著者の谷口正幸先生からのご寄贈です。「地理・歴史・民俗・年中行事や、史跡・名勝・天然記念物など、有形・無形の文化財」について解説が施された150編、古と現代を繋ぐ格好の一冊。掲載写真も興味深く、凝縮された解説文に導かれ次々ページをめくりながらの新!発見の書です。」
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表紙は美しい緑色の和紙、題字は谷口さんの筆によるものです。
校正作業のお礼にと二冊、図書館にご寄贈くださいました。
(県内では石川県県立図書館、石川県立大学が所蔵)
それから3年後、
谷口さんのご葬儀が鶴来公民館で執り行われたこと、
影山さんからのお手紙にありました。
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セレモニーホールでの葬送式に同行してくれた友人によれば、
三つもの教会が合同でのお葬式はこれまで経験がないそうです。
故人との思い出が語られるというのも珍しいとのこと。
この世を去られてあらためて
影山さんの誠実なお人柄に接しています。