小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

~澤地久枝さん~「ミッドウェー海戦」の記録

澤地久枝さんのお姿を見るのは久しぶりでした。

まったく偶然に、NHK朝のニュース《おはよう日本》で8分間。
そして、もう一つはNHKの一時間番組
《“異形の死”と向き合い続けて~ミッドウェー海戦 3418人の命を悼む》


***

10代のひとたちが戦争をどう考えているか聞きたいと
5人の高校生たちをご自宅に招いて

戦争中、自分がほんとうにばかな女の子だったということは忘れられない。
私はいま振りかえると何もわかっていなかったと思う。
戦争というものがよくわからないし、知らないし、、、
後悔の念を口にして、階段を下りて
これまで集めてきた膨大な資料が保管されている地下の倉庫に案内する。


その中には、ミッドウェー海戦の戦死者の遺族に送ったアンケートファイルがある。
40年前、前例のない調査をおこなって
ファイルにまとめて今も大切に残していらっしゃる。
生前のくらしや人柄などを聞きとった一人ひとりの人生の記録。

目を凝らして見ていると、
一時間番組に登場した「三上良孝」さんのお名前もあった。

ある高校生の曽祖父は「回天」の作戦に従事して戦死したという。
遺骨や遺品は戻らず、亡くなった日時や経緯も分からず遠い存在だった。
今年復刊した『記録 ミッドウェー海戦』の文庫本を手にして、
異形の死を迎えた若いいのち、遺された遺族の気もちをはじめて知ったという。

***

「私はね、やっぱり
みんなが黙ってしまったら
その瞬間に
戦争の助走が始まると思うの。。。

私は戦争反対って言ってるけど
戦争というものがどういうものか
あまりに知られていない

実際に経験した人には
私たちが想像もできなかったようなことがあるのね
だから
本当は聞いた方がいいのね。。。

あなたたちの意見は?
どうしたらいいと思う?」

澤地さんは若いひとたちに、語り、問いかける。

***

澤地さんは92歳(この9月3日で93歳です)
背中が曲がり、杖をつき、独り歩みゆく後ろ姿が
たまらなくかっこよくて気高くて
澤地さ~んとあとを追いたいきもちになりました。


~・~・~・~・~

『記録 ミッドウェー海戦』(澤地久枝/ちくま学芸文庫/2023.6.12)
太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦。日本側3056名、アメリカ側362名の戦死者の生年、所属階級、家族構成などを突き止め、手紙やインタビュー等を通じて戦死者とその家族の声を拾い上げた記録。

(さっそく図書館にリクエストしました)

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。