小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

復興を願って復刊~『あさいち』(福音館書店)

3月6日のほっとニュースは
福音館の絵本『あさいち』復刊!

最盛期の輪島の朝市が描かれた絵本です。

金沢生まれの福音館書店さんが
被災地の支援を摸索されている中
「復興を願って復刊してほしい!」との声が
多数寄せられたこともあいまって
44年ぶりの復刊となったそうです。

被災地を想って
この絵本を思い出してくださった方たちがいて
出版社へ伝えてくださる方たちがいて
たいせつな絵本が蘇ることができました。


***

『あさいち』は月刊絵本「かがくのとも」の1980年1月号(130号)。末っ子(息子)が5歳の時の絵本です。「こどものとも」も「かがくのとも」もほとんど孫たちに譲ったので、家にはないものと思っていたのに、ある探しものをしていたら、二階の押し入れの本棚の隅っこからひょっこり…にわかには信じられず…不思議です。


【絵】は、大石可久也さん

素朴で温かい絵です。
思い思いに並べられた海の幸、山の幸も
人も、道具も、ひとつひとつが
とてもていねいで細やかで
楽しげな会話まで聞こえてきそうです。

電気屋、クリーニング店、漆器店、銘酒、
LPガス、石油ストーブ、消火器…の文字。
垣間見える日常のしあわせな日々。


【かたり】は、輪島・朝市の人びと

こうてくだ、こうてくだ
ぶりと かにと たこと いか。
さっきまで うみで およいどった。
けさ おらちの ふねで とってきた。
とれたてやぞ。

みずなでも ねぎでも いらんけ。
この さぶいひに ゆきのしたから
とってきたげね。


もう なんねん こうして
すわっとるやら。
ああ うれた、よかったな、で
まいにちが すぎてしもうわ。

 

~ ~ ~ ~ ~

「朝市は、海でとれたもの、畑でとれたものを持ちよる商いの場。そこには潮のかおりと土のにおいがたちこめていて、人びとにとって楽しいおしゃべりと社交の場でもあります。石川県「輪島朝市」の活気ある風景を描いた、1980年刊行の本作品。令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた被災地の、一日も早い復興への願いを込めて復刊します。本作品の利益は、能登半島地震災害義援金として、日本赤十字社に寄付いたします。」ー福音館書店

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。