小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

『週刊金曜日』のこと

北陸中日新聞に、二日続けて、ドキュメンタリー映画「ちむりぐさ 菜の花の沖縄日記」の記事。「ちむりぐさ」とはウチナーグチ(沖縄の言葉)で、誰かを思い、胸が痛むという意味なのだそうです。執筆は東京新聞デスクの中山さん。信頼できる若きジャーナリストとしてずっと注目している方です。水野スウさんのブログにも映画の情報が紹介されていました……そして『週刊金曜日』についても。

あ~、『週刊金曜日』の名が出たからには、そのことに触れないわけにはいかないでしょう。封印したままでいるわけには。。。

それは、2007年のこと。
町のボートピア誘致に町民の過半数が反対して大きな住民運動となり、県内の大ニュースとなって、連日、報道されました。そのルポルタージュが掲載された『週刊金曜日』(6/15)を図書館に寄贈したところ、図書館長から以下の文書が届きました。

「前略 先日は、寄贈のご希望がありましたが政治がらみの週刊誌は公共の図書館に置くわけにはいきませんので、寄贈された「週間(ママ)金曜日」は返却いたします。又、図書館の予算的なことから今後購読の予定はございません。
                    平成19年7月20日  津幡町立図書館 」

「政治がらみ」とはどういう意味か。図書館長の判断として軽率ではないか。
「政治がらみ」という意味が「政治に関係している」という意味であるとしたら、「平和」「人権」「環境」「教育」「歴史」「政治」「経済」「健康」「文化」・・・すべて政治と関係がある。図書館から本がなくなってしまう。恣意的、作為的な図書選択をしているとしたら、職権乱用。罷免を求めるべきです。

と、抗議の声があがりました。

今どき『週刊金曜日』の寄贈を断る図書館があるとは驚きです。と、当時の小杉町民図書館長の参納さんはおっしゃって「郷土に関する資料は寄贈資料も含めて、例え数ページといえども収集公開するのが図書館のあり方です。」とのご意見もいただきました。

図書館長がそれほど重大なこととは考えずに判断されたことなのか、同じく校長職の経験者である教育長とご相談の上でのことなのか。

あまりに哀しい図書館の状況に落胆し、声をあげることもあきらめて13年を経てしまいましたが、図書館への、そして『ひと言・人・こと』を応援してくださった方たちへの恩返しをするときですよ!と、昔のデータが奇跡的に復活して、背中を押してくれているのかもしれません。

「図書館は成長する有機体である」とはインドの図書館学の父と呼ばれるランガナタンの有名な言葉ですが、その成長を促進するのも止めるのも、わたしたち、です。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。