日曜日、隣町の「内灘闘争70年記念シンポジウム」に参加しました。
「金は一年 土地は万年」と書かれたむしろ旗スローガンが飾られた内灘町役場町民ホールは、次々に椅子を補充してくださっても追いつかないほどの大勢の人たちでした。高齢者のみならず、若者や乳幼児を抱いたお母さんの姿もありました。
パネリストのおひとり、杉村竹子さんは91歳。当時を知る貴重な体験者でした。毎日、200~300人が座り込みしたという激しい闘争運動のこと、一致協力した浅野川電鉄、国への陳情、両親は娘の行動を黙って見守ってくれたけれど兄妹仲はこじれてしまった…など、杉村さんの思い出話は尽きることがありませんでした。
シンポジウムに先立ち、「ちむりぐさ 菜の花の沖縄日記」の坂本菜の花さんからの代読メッセージ、地元出身者による民謡、ドラム、津軽三味線、、、そして座り込み現場で歌われていた「内灘かぞえ唄」。「ほやほーや」「ホヤホーヤ」の合いの手で、会場はおおいに盛り上がりました。
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実は昨年末、友人の多田美代さんから絵本と冊子(48ページ)をいただきました。美代さんがボランティアの仲間のみなさんとまとめられた労作の冊子です。内灘の魅力を発信するFMかほくの4分間の番組の200回を超える原稿の中からピックアップした50回分を6章にまとめたものです。
あれはいつだったか、車を運転しながら、ふとFMかほくを聴くと、聞き覚えのある落ち着いた声…あ、多田さん、とすぐにわかりました。こんな広報活動もされていらっしゃるのだと感動したこと思い出します。
2009年から6年間は「風と砂の館からのお知らせ」、その後の4年間は「内灘今昔物語」。土日以外の毎日の放送で、2019年3月末で終了したそうです。内灘に関連した文学がこんなにもあることに驚き、さまざまな資料収集、調査のご苦労も推察されました。記憶を語り継ぎ、資料を保存していかねばと強く願う人たちが繋がって、貴重な歴史遺産は次世代へと引き継がれていくのだと思いました。
―『内灘今昔物語』(2019年発行)―
■内灘の自然
■粟崎遊園
■内灘闘争(内灘闘争/鉄板道路/内灘のおかかたちのオーラルヒストリー/着弾地観測所/内灘追分や内灘かぞえ唄/内灘探訪ダークツ-リズム)
■内灘闘争と文学(五木寛之「内灘夫人」/芦田高子「歌集内灘」/岩倉政治「ニセアカシアの丘で」/深田久弥「内灘試射場」)
■/内灘が描かれている文学(井上靖「北国」「砂丘と私」/三島由紀夫「美しい星」/浜田知章「1953年内灘」/泉鏡花「湖のほとり」「霰ふる」/高浜虚子「老いての旅」水原秋櫻子「能登の荒磯」/森山啓「青い靴」/古井由吉「雪の下の蟹」/鶴羽伸子「土地の力」・・・)
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「内灘かぞえ唄」
一つ 日の丸ムシロ旗
二つ 舟小屋に泊まりこむ
(ホヤホーヤ)
三つ みんなで反対すれば
四つ 吉田はんも困るやろ
(ホヤホーヤ)
五つ いのちをめっこにしても
六つ 村をば金では売らぬ
(ホヤホーヤ)
七つ 中山あやまらせ
八つ 役人追い返す
(ホヤホーヤ)
九つ こんどはだまされまいぞ
ドカンやめるまで動きやせぬ
(ホヤホーヤ)
(*吉田内閣、*中山村長)
関連ブログ:《3つのお知らせ》の「おかか達とかぞえ歌」
https://hitokoto2020.hatenablog.com/entry/2022/08/30/203544
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絵本は、娘さんの千佳さん。
『生ごみからエネルギーをつくろう!』(多田千佳・文/米林宏昌・絵)
専門は環境微生物学、東北大学大学院准教授の千佳さんと、ジブリアニメ『借りぐらしのアリエッティ』の監督を務めた米林さん。泉丘高校理数科のクラスメートのおふたりがタッグを組んでできあがった絵本です。生ごみ利用で「わたしたちも木になれる、街の中にだって森ができる」という希望のメッセージがこめられています。実際、宮城県のパラリンピック聖火は、みんなでつくったバイオメタンで炎を燃やし、その火を集めた聖火だそうです。この絵本は、全国ほとんどの図書館に所蔵されています。お近くの図書館でぜひどうぞ。
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「難民の問題はほんとうに難しいですね。知らないことが多すぎて、もっと関心をもたなくてはと反省させられました。」
同じ日曜日、金沢の近江町交流館で上映された映画「マイスモールランド」を観た友人からのメールです。実は、、、どちらへ行こうかとちょっと迷ったのです。
『「難民」とは誰か~本質的理解のための34の論点』(小泉康/明石書店/2023年3月)
難しそうな本です。理解できるかな?昨日、図書館から借りたばかりです。