小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

義風さんの図書館川柳

興津からバスに乗って街に出て、図書館によく立ち寄られた前田義久さん。
2001年の北國新聞の「新春文芸」では、90歳でチャレンジされた詩が最優秀作!

《初山河》

「もう九十歳か
夜が明けたら鶴のごとくやせた
身体のてっぺんに
頭があぐらをかいて座っていた
私は生きていたのだ
脳が今年もガンバレとささやく
初東風に吹かれながら氏神に急ぐ
弱い身体でここまで生き続けるとは(…後略)」

初めてお目にかかった頃は85歳、町の川柳の選者でした。細い小柄な義風(柳号)さんの衰えぬエネルギーに、私たちはいつも驚かされました。
少しも偉ぶったところがなく、にこにこして、温かいお人柄でした。
かましくも、図書館のことを川柳に詠んでいただけませんかとお願いしてみました。

義風さんの図書館川柳が始まりました。お笑い下されと遠慮がちにくださいました。
何かの余白だったり、ちらしの裏だったり、時にはわざわざ葉書だったり。
図書館川柳は、図書館の心強い応援歌でした。

~図書館がオープンした頃~

生涯が勉強 図書館通いする
すぐ足が向く図書館の入りやすさ
図書館の独立 喜ぶ人が増え
新書あり 古書あり 図書館が呼ぶ
図書館で互いに夢を語りあい

~マキシンさんと出会った頃~

にこにことマキシンさんの指導力
勉強は生涯 日本もアメリカも
初対面 失礼な手を差しのべて
握手して目と目 心が通じそう
世界中が皆友だちで笑い合い
笑いには国境はなし手を握る

~春になった頃~

図書館も春 借る人も貸す人も
図書館も春 出入りする人が増え
図書館でマキシンさんもお待ちです
図書館に来て良かったと皆思い
好きな本借り 図書館を出る笑顔

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。