小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

にんげんて…!

ブログを読んだ友人が紹介してくださったのは、石垣りんさんの《虹》。
五冊目の詩集を作りたいと、亡くなる半年前から強く願っていたという
りんさんの想いに応え、未刊詩350編の中から40編を選んで出版された
『レモンとねずみ』(童話館/2008年)の中の一編です。


   ☆《虹》☆
          
   虹が出ると
   みんなおしえたがるよ
   とても大きくて
   とても美しくて
   すぐに消えてしまうから
   ためておけないから
   虹をとりこにして
   ひとつ金もうけしようなんて
   だれも考えないから
   知らない人にまで
   大急ぎで教えたがるよ
   虹だ!
   虹が出てるよ
   にんげんて
   そういうものなんだ
   虹が出ないかな
   まいにち
   虹のようなものが
   出ないかな
   空に。


虹に感動して、知らない人にまでおしえたがっていたあの日の私を、
ベレー帽かぶったりんさんが、ほらね、そうでしょ、とにっこり…。
りんさん、私は「にんげん/そういうもの」でよかった~。

『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』は39歳の初詩集、
そして『表札など』「略歴』『やさしい言葉』の四冊の詩集を残して
2004年、84歳で亡くなられたりんさんでした。
五冊目の詩集の終わりには、親しくされた谷川俊太郎さんと茨城のり子さんの
弔辞も掲載されています。。。もうすぐ命日の12月26日です。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。