小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

『二十六夜』の梟たち

今日の宮沢賢治の読書会は『二十六夜』を輪読しました。
「梟」の世界の物語にすっかり引き込まれてしまいました。

 6月24日の晩、林の中で、梟たちが集まって、
 お坊さんの読経、お説教をしいんとして聴いています。

 25日の晩は、梟たちの様子が昨夜と違います。
 三兄弟のなかの一番おとなしい子が、
 人間の子どもにつかまってしまったのです。
 脚を赤い紐で結わえられ、逃げることができません。

 和尚さんはこんな言葉をかけます。
 「…あんまり泣けば心も沈み、体もとかく損ねるじゃ。
  …今、ここへ来て、はじめてとまった処じゃと、いつも
  気軽でゐねばならぬ、」
 
 お母さんは、
 「いのちのある間は朝夕二度、
  わたしに聞こえるやう高く啼いてくれ、」
 
 そして26日、、、、、、、、


あまりに切なく、哀しい物語でした。(青空文庫でぜひ!)
今回初めて!の作品と思い込んでいましたが、
帰宅して《ひと言・人・こと》を開いて、もうびっくり!
自分のいい加減な記憶に呆れてしまいました。
2004年6月3日、『二十六夜』の読書会が記録されていたのです。

小さな「みんなのへや」での読書会。
記憶の断片が少しずつ蘇り、
そういえば、ワークショップ形式だった、
今は亡き押切存さんがお坊さん役だった、
お経の声、フクロウたち、、、ナレーターは誰だったっけ。

記憶はしだいに薄れ、消えていってしまったように見えても、
実は、心の奥の隅っこにちゃんと住んでいるのかもしれません。

今日の終わりに、参加者のみなさんから伺った別れの物語も、
不思議な、心打つお話ばかりでした。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。