20年前、北欧に住む娘が突然、食物アレルギーになって以来
私もアレルギー社会を意識するようになりました。
健康な身には思いもよらぬ苦労、悩みがあることを実感しました。
香りにも敏感です。
シャンプー、洗剤などは勿論、無香料。柔軟剤は使いません。
他人の衣類や化粧品、トイレの芳香剤などにも用心深く行動しています。
そんなベテランの娘も、一瞬油断しました。
今年の夏、日本でしばし滞在してその帰路でのことです。
眠れぬ機内でアテンダントから「お水はいかが」とのサービスに、
一滴口に含んだ途端、激しい発作を起こしてしまったそうです。
機内の水はただの水ではありませんでした。
機内だからと安心してはいけなかったのです。
微かに微かに~レモン風味!
普通にはなんら害がなさそうでも、
人によっては危険なものが潜んでいます。
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今、いいニオイと称するものはほとんどは石油化学製品。
嗅神経を通して、脳に直接影響するのではないかと専門家が言っています。
「化学物質過敏症」では、
自律神経、精神、眼科的、消化器、運動器、免疫、循環器、気道、内耳障害など、多岐にわたってさまざまな障害が現れるそうですが特効薬がないそうです。
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3年前だったと思いますが、化学物質過敏症で苦しむ人たちを取材したドキュメンタリーがありました。
患者として紹介された人たちは、石川県金沢市、野々市市、福井県鯖江市の女性たち!
娘のこともあって、急ぎメモしました。
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農薬を使わない野菜の栽培法について学ぶ人たちの中にしゃがみ込む女性がいるのに気づいたことから7年にわたり、CS(化学物質過敏症)についての取材が始まったそうです。
シックハウス、シロアリ防止剤で症状が悪化、CSと診断されたその女性、畑で集まっている参加者たちのシャンプー、柔軟剤の香りが耐えられなかったようです。CSになって、デパートでの買い物、映画、友だちとのランチもできなくなりました。
周りの田んぼの農薬散布の夏、身を守るために一ヵ月、
山奥にバンガロを借りて避難する生活が9年も続いています。
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野々市市のファッションデザイナーだった女性は、自宅のリフォームの住宅建材や友人の柔軟剤のにおいで顔が腫れあがって、みるみる肌が壊れるようにボロボロになって人前に出られるような状態ではなくなりました。
苦手な香りを付けている人といつすれ違うかわからないので、活性炭入りのマスクを重ねて防御しています。
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長年、夫と友禅染の仕事をしてきた金沢市の中田さんは、突然、呼吸困難に陥りました。友禅染には化学染料が使われるのです。家の中も、外も、息苦しくて耐えられない、元の家には住めないと訴えます。家族の危機も忍び寄ります。
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子どもにもCSが広がっています。
床ワックス、合板の机の接着剤、教科書やプリントのインクのニオイ、マジックなどの文房具、、、教室には多くの化学物質が溢れています。
そんな子のために教室のリフォームを行った高知県の小学校がありました
壁、天井、床、、、を化学物質を遮断するアルミシートで覆いました。
そのへやの入り口にあかねちゃんが書いた3枚のポスターを貼りました。
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この教室でお勉強
している生徒は
「あかね」といいます。
化学物質過敏症
という病気があります。
化学物質を吸って
しまうと頭が痛く
なったり 気分が
・・・
悪くなります。
頭が痛くなるモノは
洋服やシャンプーの
においに入っています。
「あかね」はみんなと
遊びたいとねがって
います。どうすれば
いっしょに遊べるのか
・・・
お父さん、お母さんに
聞いてみてください。
「あかね」からの
おねがいでした。
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高知県の山奥に暮らす別の母子もCSです。
母親は職場で防毒マスクを着けています。
息子は学校を早退したり休むことが多い。
特にタバコのにおいが苦手。
頭が痛くなり、熱が下がらず、鼻血が出ます。
お母さんはクラスの子どもたちの前で
CSの病気について話しました。
熱が出るのもあやしい、ズル休みじゃないかと
それまで疑っていた子たちにも
ようやく事情をわかってもらえました。
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陽の光を浴びられない子、
化学物質過敏症で他人と接触しづらい子、、、
世の中には、この他にも当事者にしか分からない
さまざまなつらい悩みを抱えている人や家族が
どんなに多いことかと思います。
知ること、伝えること、、、私にもできそうです。
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『沈黙の春』が世に出てから60年。
レイチェル・カーソンが警告したように、
化学物質による環境汚染は更なる深刻の様相です。
自然破壊は、当然ながら人間をも破滅に導く。
かの名著を再読しています。