小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

四回目の図書館見学~わくわくバスツアー

外は猛吹雪、ガラス窓は凍てついた雪が貼りついて真っ白です。
風雪、雷注意報に続き、大雪警報も出ています。
停電している地域もあるらしい。
昨日のうちにさしあたっての買い物をすませひと安心です。

一昨日は県立図書館見学バスツアー。
津幡の図書館に集合して、中型バスで20人。
片道30分弱の短距離ツアーでした。

私はこれまでに三回。
一回目は、元県立図書館長の表さんご夫妻に誘われて
二回目は、置き忘れたメガネを受けとりに友人と
三回目は、北欧から来日した娘たち夫婦を案内

新カードで本も借り、遠隔地返却も完了。
もうこれで充分なのですけれど
個人では気づけないお話が聞けるかもと
期待感、好奇心で参加した見学会でした。

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入り口すぐの「だんだん広場」でスクリーンを見ながら、30分ほどの説明がありました。

◇明治45年兼六園内に開館、昭和41年本多町に移転した旧図書館の「古い、狭い」の証明写真に胸うたれたのは私だけでしょうか。所蔵している本の約1割しか閲覧スペースに置けなかったそうです。あの本を、こんな本を、と相談すると、司書さんたちがどこからか集めてきて、魔法のように目の前に積んでくださった。駐車場は32台分。運転未熟な私はいつも守衛さんのお世話になったことが蘇りました。(その4階の社教センターの日本語講師でした)

その約3倍の広さの新図書館は駐車台数400台、地上4階、地下1階。これまで私はなんどとなく迷ってぐるぐる駆け回りましたが、天井、床、家具、サインも方位ごとに色分けされ、どこにいるのかわかりやすくなっているそうです。

◇コンセプトは《思いも寄らない一冊との出会いを提供する》
円形の本棚の約7万冊の本は従来の分類によらず、身近な12のテーマ(仕事を考える、暮らしを広げる、好奇心を抱く、生き方を学ぶ、、、など)で図書館に慣れていない人にもわかりやすく並べられているそうで、「ウインドウショッピング」の感覚で楽しんでほしいとのこと。従来の図書館利用者も置き去りにしない、ビギナーにもマスターにも、どちらにもうれしい、、、との配慮から、分類順の棚も用意されています。たしかに、求める資料を的確に見つけるには、従来の並べ方のほうが使い勝手がいいのです。

◇「こぼれ話」によると、司書さん考案の手書きの絵がプロの手で図面化され、子どもから車いす利用者まで誰もが使いやすい斜めのタッチパネル方式の家具が製作されたとのこと。

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☆さて、その後はのんびり自由時間。友人におつきあいしてまず「カフェハムアンドゴー」へ。コクのある極上の特製プリンは450円~!ふと庭を眺めると、包帯でぐるぐる巻きの太い古木が見えました。なにかいわれのある樹木なのでしょうねぇ、と三人で確かめに行くと、標識には、金大工学部の正門にあった「ソメイヨシノ」を移植したとありました。細い枝が芽吹いています。思い出が詰まった桜なのですね。

☆「十二文豪図書館ニ降臨ス〜EPISODES with 文豪とアルケミスト〜」の企画展では、文豪署名入りの本や直筆原稿などがありました。《鏡花と秋聲、二人は不仲だったのか?》のフレーズには思わず足を止めました。

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実は、前回、娘たちと来たとき
洗面所で発見!した標識がありました。

三四郎が驚いたのは、どんな本を借りても、
きっと誰かが一度は眼を通していると云う事実を
発見した時であった。 夏目漱石三四郎』〉

図書館ならではの遊び心満点の企画です。
男性トイレにはあったのかなかったのか。
夫は気づかなかったと言います。

「相棒」の右京さんよろしく
私も小さなことがやたら気になって
この機会にと、レファレンスしたところ
事務所の方がとても詳細に教えてくださいました。

著作権を侵害しない古い作品群から
司書さんたちが選んだというフレーズ一覧には
三木清宮沢賢治室生犀星泉鏡花の一節、
中原中也八木重吉の詩もありました。

〈なにもなにもちひさきものはみなうつくし 清少納言枕草子』〉
これは授乳室の標識です。

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午後の3時間ほどのお出かけでした。
図書館員のTさんがガイドさん。
小さな図書館での9年と一ヵ月を共に過ごした若い人です。
その間に司書資格をとった彼女が
しっかりマイクを握っているのを見るのは
なんとも感慨深いことでした。

最初にご挨拶された生涯学習課の方は
はて?どこかでお目にかかったような…

帰りのバスで席が近くになって
「研修で、初めてお会いしましたね」の言葉で、
あ、F先生~~!
昔の記憶が一瞬にして蘇りました。

26年も前のことです。
一泊二日の県内の新図書館長、社会主事の研修で
一緒に学んだ仲間のおひとりでした。

県立図書館でも懐かしい人たちに会えました。
旧図書館で知りあった若い人たち
変わらず元気にがんばっていて
あれこれ手助けしてくれました。

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その昔、
こうしてバス(町のバスなので無料!)をチャーターして
巨樹めぐり、蛍の夕べ、町を知ろう、、、
町外のプラネタリウム、絵本館、菊の展覧会、、、
あっちこっちと訪ねました。
当時、図書館のバス利用が一番多かったそうです。
バスの中では、いつも、絵本クラブのメンバーが
わらべうたやら手遊びやらと大活躍したことも思い出されます。

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膝が気になりながらも、積極的に動くきもちになれるのは
なんといってもこのブログを始めたおかげと思います。



 

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。