小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

いしかわ文化の日に

三年前から、10月の第3日曜日は『いしかわ文化の日』。
その日は県内の美術館や博物館など、119の文化施設
入場無料の日ですって。今年は17日でした。

せっかくの機会~~~
そうだ、石川に移転されてからまだ一度も見ていない
国立工芸館へ行こう!
開館一周年の記念展が開かれている。
東京国立近代美術館で観て感動したと娘から聞いていた
《十二の鷹》はどんなんだろうか。

一週間前に、なんとか日時指定のオンライン予約完了。
当日は、あいにくの小雨の日だったけれど、
浮き浮き気分で、10時の電車に乗って、
バスに乗って、金沢の街をてくてく歩いて、
市役所庁舎前で開かれていた緑化フェスティバルを覗いて、

金沢21世紀美術館~石川国際交流サロンの3人展~
金沢ふるさと偉人館~石川県立美術館~国立工芸館~
石川県立歴史博物館。

* * *

これまで入る機会のなかった「ふるさと偉人館」では、
9月25日に始まった《跳ぶ哲学者 大島鎌吉》展。
初めて知ったお名前です。

三段跳びのメダリスト、毎日新聞記者、
4か国語を話す国際人、反核署名運動を推進、
東京五輪日本選手団団長、、、の足跡や、
哲学者と呼ばれる所以の語録の数々。
二階には世界新記録15m82㎝の実測も設置されていて、
何よりも、「ケンキチ愛」にあふれた館員さんの
行き届いた説明に心が満たされた。

鈴木大拙西田幾多郎藤岡作太郎中西悟堂、、、
館内の展示をゆっくり見て回った。

木村栄博士はZ項の発見者として有名な天文学者
たしか、宮澤賢治の「風野又三郎」には、
「木村博士は痩せて眼のキョロキョロした人」
「非常にテニスがうまい」と実名で登場している。
サーブ2本とも悪戯されて、腑に落ちない博士の様子が
面白可笑しく描写されているのです。

書人としての号は【千山】、
数え年4歳の書とは思えぬ『景運飛』に唖然!

* * *

県立美術館ではこれまで観ることのなかった常設展を
じっくり見て回った。

国立工芸館の作品はどれもすばらしかった。
ずらりと並ぶみごとな鷹に息を呑んだ。
松田権六さんのお仕事もとても興味深かった。

歴博は何度か訪れたことがあったが、
加賀・能登の祭りコーナーは初めてだった。

珍しい《ふきのと祭》、《十七夜祭り》、、、

《いどり祭り》はユーモアあふれる祭礼行事。
「いどる」は、非難すること、けなすこと。
当番が用意した丸い小餅、1mの大鏡餅を、
三角だ、ひびわれとる、薄っぺらいだの、
だらっとしてるだの、こんなひどい餅見たことない
などと難くせをつけ、最後は神主が仲裁に入って
収めるという珍しい神事。
そのやりとりが愉快で、再生ボタンを押しては、
繰り返し映像をたのしんだ。

祭礼体感シアターでは三面の巨大スクリーンに
青柏歳、とも旗祭り、お熊甲祭り、獅子舞、
あばれ祭り、、、
名人七人による御陣乗太鼓は圧巻だった。
躍動感満点の音と映像に酔いながら、閉館時間。

* * *

気ままに自由に、ひとり歩きのよくばり「文化の日」、

「いしかわ」を満喫した一日でした。

~・~・~・~
ところで、
「博物館法」の第23条

《公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に
対する対価を徴収してはならない。
但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情の
ある場合は、必要な対価を徴収することができる。》

原則無料ですが、(但し)がありました。

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。