小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

当たり前の日常

新聞にはコロナ拡大のニュース、クマ出没の記事、、、
高齢者の転倒事故も増えているらしい。
 
実は私も、つい先日、とある駐車場の車止めブロックに躓いてしまい、
勢いよく転倒した。自己診断では、幸いにも、いずれの骨にも異常はなさそう
なので、家の中でおとなしく回復を待っている。
自分のそそっかしさと一瞬の不注意で、日常のあれこれに支障をきたした。


「平凡」が一番だいじ!
「平凡」という言葉がすごく好きだという人がいた。

 ―今の世の中、当たり前のことが当たり前でない日常生活になっている中で
 何が一番大事なのかっていったら、自分たちが今こうやって平凡に生活、
 仕事できてる。これが一番大事なこと、こんな幸せなことはない。―

NHKプロフェッショナル~当たり前が当たり前であるために~に登場した
大森透(62歳)さん、箱根を走る路線バスの運転手さんである。

路線バスの仕事は、毎日何事もなくお客さんを目的地まで届けること。
そんな大森さんが「名物ドライバー」と呼ばれるゆえん、、、
ひとつでも、お客様がいい思い出を作ってもらえればという
接客の心遣いの深さが随所に見られた。
プライドを持って、一つ一つ手を抜かず、仕事をし続けている大森さんだった。
毎日、丁寧に車体を洗う。車両の消毒をして感染予防を心がける。 

 
 ―リスクと隣り合わせの仕事だが、それでも運行が求められる。
 必ずバスが来てくれると当てにされている。それが一番の私たちの仕事、
 地味な作業をこつこつ続ける、一日一日の積み重ね、それが信用。―

 ―交通網が動かなくなってしまうとやっぱり困りますから。
 当たり前の生活がどんなに大事か、皆さん思ってると思うんですよ。
 それぞれの生活をしていただいていて、そういったそれぞれの中で、
 自分たちの車がこうやって回っていれば一番いいのかな。―

 ―仕事が嫌になったことがない。いやだなぁと思ったことは一度もないんですね。
 やめようと思ったこともない。腰が痛いとかそういうことはあるんだけど、
 決してやめようかななんて思ったことはない。―


当たり前の日常を守るのは、そう簡単な事ではない。
その温かい話しぶり、誠実で、謙虚な人柄に引き込まれて、あちこちの
傷の痛みも忘れて見入ってしまった

 

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。