昨夜はスーパームーン、雲間から現れるお月さまを眺めました。
今日の朝ドラ『らんまん』でも大きな月を見上げる場面がありましたね。
今週のサブタイトルは、「オーギョーチ(愛玉子)」。
台湾での呼び方から名づけられたという学名だそうですが、
「学名として永久にとどめるがです…ささいなもんが踏みにじられ…人間の欲に踏みにじられる前に…植物学者として守りたい…植物学に尽くす!ただそれだけ…」
万太郎の言葉がずしんと響きました。
琉球、アイヌ、、、そして朝鮮。
日本が朝鮮を支配していた1940年代、消えゆく運命にあった朝鮮語を守ろうと
命がけで辞書を作ろうとした人々の物語、悲しい詩人の生涯。
『マルモイ ことばあつめ』
https://hitokoto2020.hatenablog.com/entry/2020/09/18/103751
空と風と星の詩人~尹東柱
https://hitokoto2020.hatenablog.com/entry/2020/09/20/114500
関東大震災での虐殺のこと、そして最近になって知った福田村事件。
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今日からもう9月。かなり日が過ぎましたが、8月15日の中日新聞の特集記事(18、17面)のこと、書き記しておこうと思います。
★第18面【平和の俳句 特集】
戦後70年にあたる2015年から始まった俳句募集企画です。
金子兜太さん、いとうせいこうさんが選者をつとめられ、金子さんの志は黒田杏子さん、そして黒田さんを師と仰がれる夏井いつきさんへと受け継がれ、今年は昨年を524句上回る6,746句が寄せられたそうです。(私も今年こそは一句ときもちばかり奮い立っていましたが…)
選ばれた作品は、8月15日から昨日までの第一面に、一句ずつ掲載されました。
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8/29 スタンディング青葉も手振る町の辻(小幡由美子/66)
〈いとうせいこう〉平和行進に参加し、街に立つことで不服従を示すことを体験した六十代女性のとても、柔らかな表現。広げたいデモ。
8/30 切る結ぶ描く蒔く祈る手のかたち (竹田 郁子/ 59)
〈夏井いつき〉人は、様々に手を使いながら生活をしています。それぞれにある手のかたち。種を蒔き、平和を祈るのもまた同じ手です。
8/31 ボクたちは順に起きて寝る地球の子(岩津 明弘/49)
〈いとうせいこう〉ここが朝なら、あそこは昼、そして向こうは夜。そうやって回っている同じ地球の中に人類がいる実感を詠んだ句。
・・・
「折り鶴」で知られる佐々木禎子さんの兄、雅弘さん(82)と原爆投下を命じたトルーマン元大統領の孫、クリフトントン・トルーマン・ダニエルさん(66)の句。わだかまりを越え、手を携えて活動されていることも紹介されていました。
☆赦しあう心の先に見る笑顔
☆That we are close friends,
Hibakusya and Truman,
Is remarkable
18歳以下の子どもたちの10句も紹介されています。
☆僕の夢世界みんなで歌うこと(しふく/14歳)
☆8月を僕は知らずに息をする(りんな/16歳)
☆空見れば悲しくなるほど快晴だ(あやの/17歳)
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★右のページ第17面は全面、ある俳優さんのインタビュー。
なんとあの「青汁」CMでおなじみの「悪役商会」の八名信夫さん!
小さな図書館ともご縁があるのです。
実は、20年前の「町民集会」でお目にかかったことがありました。
https://hitokoto2020.hatenablog.com/entry/2003/03/09/000000
新聞を読んで、その日、すぐに図書館へ出かけて、
書庫に眠っていた『こんにちは 八名信夫です』を手にしました。
「津幡町の皆さんへ 2003.3.9 八名信夫」のサイン入り。
岡山生まれで桃が好き、イカが大好き、甘いものに目がない八名さんの甘いものベスト(八位に金沢の森安の水羊羹)や野球選手だったこと、「あんたたちが来ると刺激が強すぎて更生中の者に悪影響を与える」と全国すべての刑務所でボランティア訪問を断られたり、本物のヤクザが応募してきたり、以前は、電車の中で子どもが怖そうにこっちを見ていると母親が「あんまり見ちゃダメ、悪いことばっかりしてるとあんな顔になるんですよ」と言われたこともあったとか。肩の凝らない、愉快なエピソード満載ですが、持論もきっちり展開します。
「人の不幸を喜び、いじめ、それを笑いのギャグとして放送する、程度の低い番組が多すぎる、くだらないテレビは見せるな」
「日本銀行も大蔵省も政治家も証券会社も、世の中で、頭が良くてエリートで、国の大事なことを俺達のかわりに考えて、俺達国民の為に良いことをしてくれなければならない人達が、自分の本当の務めを忘れてしまっている」
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そうそう、あの時、超スピードであらたに三冊が届いたのでした。
「八名さんの『こんにちは 八名信夫です』が3冊、届きました。先日の町民集会でお目にかかった「悪役商会」事務所の竹谷さんがお約束してくださったのです。カウンターに置いた途端、4冊とも貸し出されていきました。」(2003.3.12/『ひと言・人・こと』より)
県内の所蔵館は津幡町立図書館のみ。ただ、現在は一冊しかありません。
紛失?おそらくは…惜しいことですが、所蔵点検の際に除籍処分されたのかもしれませんね。
着流し姿でサングラス、左手にはタバコ、
本の表紙はさすが悪役、一見、凄みがありますが、愉快な本です。
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今年87歳の八名さん、インタビューの中で、これまでに私財を投じて被災地支援をしてきたこと、元気づけるために映画も作ったと語っていらっしゃいます。熊本で撮った映画「駄菓子屋小春」では、八名さん演じる植木職人が戦争の恐ろしさを語る場面は、台本にはないアドリブだったそうです。
「地震も怖いがもっと恐ろしいものがある。戦争だ。戦争はすべてのものを奪い去る。人の心まで消し去ってしまう魔の消しゴムだ。わしは岡山で空襲に遭って、おじは広島で原爆だ」
あの場面の撮影のとき、飛行機が上空を通過した。それで、なぜだかあのセリフが浮かんだ。戦争だけは絶対にやってはダメだ。…これを伝えていくのが俺らの義務であり、責任なんだ。戦争で領土を取り合いして何になるんだ。なんで話し合いができないんだろうか。政治がしっかりしなきゃいけない、鶴田浩二さんや若山富三郎さん、高倉健さん、みんな逝っちまったけど、俺はまだ生きている。これからの人生、まだやらなきゃいけないこともあるし…。
「笑顔と元気を届けたい」と執筆やボランティア活動を精力的に続けていらっしゃるという八名さん。
尻込みしたのですがどうぞどうぞと勧められ、長身の素敵な八名さんと並んだ20年前のツーショット写真、どこかにしまってあるのを思い出しました。