小さな図書館のものがたり

旧津幡町立図書館の2005年以前の記録です

「センス・オブ・ワンダーの図書館」と呼ばれていた旧津幡町立図書館。2001-2005年4月30日までの4年間、そこから発信していた日々の記録「ひと言・人・こと」を別サイトで再現。そこでは言い足りなかった記憶の記録が「小さな図書館のものがたり」です。経緯は初回記事にあります。

図書館

お花見に誘われて

数日前、夫と訪れたときにはまだ八分咲きだった森本の北部公園、昨日はすっかり満開でした。 友人たちの発案で、前日にいきなり決まったお花見会。木陰にシートを広げて、四人で足を投げ出して美味しい玄米弁当をほおばっていたら薄ピンクの花びらがひらり~…

人とくらしたワニのおはなし~その2~

3月30日の地元各局の夕方のニュースは金沢気象台のサクラの開花発表。ソメイヨシノの標本木を見上げて、お二人の職員が数えます。午前中はまだもうちょっとでしたが…午後になって、一つ、二つ…五つ、「六個咲いていまして開花基準を満たしているので開花です…

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』①~⑪読了

リクエストの本を受け取りに図書館へ。2月27日のブログ《戦争は悲劇です》で紹介した穴水図書館蔵の『ペリリュー』(武田一義/白泉社)最後の、9、10、11巻です。 副タイトルは《楽園のゲルニカ》原案協力は平塚柾緒さん(太平洋戦争研究会)30冊近くに上る…

人とくらしたワニのおはなし

「雪すかしに明け暮れた2月でしたが、今日は暖かくなりそうですね。スペインに住む友人のYさんから紹介された本です。」 とっておきの情報を教えてくれたのはモモリンさん。 『人とくらしたワニ カイマンのクロ』(福音館書店/2022.2.10) Yさんの友人、マリ…

戦争は悲劇です

次々に本を読んでいました。その中の二冊は、戦争を描いたもの。 ☆『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(武田一義/原案協力:平塚柾緒(太平洋戦争研究会)/白泉社) 「第46回漫画家協会賞優秀賞」を受賞した作品でした。「可愛らしい温もりのある筆致ながら《…

『雪国のスズメ』に逢えました

気象予報の通り、昨日は雪が激しく降りしきる日。相互貸借で借り受けた本の期限がきてしまって、雪の中を出かけました。もっとじっくり読んでいたいけれど、相互貸借本の延長は望めません。 * * * 『雪国のスズメ』(佐野昌男/精文堂新社/1991.4)1974年…

夫のはなし

娘のお薦めで読んだ『ツボちゃんの話:夫 坪内祐三』(佐久間文子/2021.5) 2020年に急逝した夫への想いがそのまま率直に書かれていて、しみじみした本でした。その中にある中学の同級生という理由で、遠くの歯医者さんまで通っていたという話も好きです。 …

ある鍛金作家との出会い(その二)~寄贈の本

図書館には、さまざまな寄贈本が届きます。政治や宗教の布教、特定の企業のPR資料等はお断りするのが一般的です。 自費出版物寄贈については、以下に該当する資料は受けつけることができないと明記している図書館もあります。 自分史、家系に関する著作 小説…

ある鍛金作家との出会い

「みかんの図書館」の山代温泉はある美術館主との出会いを思い出させてくれた。 これまでにいただいたお手紙を開いたり著書を読んだりして瞬く間に一週間が過ぎた。 高岡嘉久さん、大正14年8月18日お生まれの97歳。どうしていらっしゃるでしょうか。お元気で…

「みかん」の図書館

「~今朝何気なくテレビを見ていたところ、NHKで「ショートストーリーズ」という番組をやっていました。加賀山代温泉の中に「おんせん図書館みかん」というコミュニティースペースがあるそうです。ご存じでしたか?ひとり一棚、オーナーになってお気に入りの…

☆マークはないけれど

2002年8月2日のブログに、【M君が教えてくれたこと】を書きました。 Mさんのお陰で、秋山ちえ子さんの「談話室終了」の情報を知ったこと、その二年前の「大発見」についても自慢した記録です。(リンクすればいいのでしょうけれど、自信がなく…、よろしかっ…

図書館の新聞愛読者

今日の夕方、図書館へ行ったときのことです。 「ありがとう!」 聞き覚えのある元気な声!カウンターへ新聞を返していたのはMさんでした。 昨年も、一度、彼の姿を見かけたことがありました。今も、図書館通いをしているんやね~、よかった~、声をかけよう…

新聞

若い人たちだけでなく、新聞を購読しなくなった人たちが増えているらしい。ネットで新しい情報が簡単に手に入る時代、紙媒体の書店が減っていくのと同じ流れなのでしょう。 我が家は、早朝の新聞から一日が始まります。目覚めの早い夫が老眼鏡をかけ、布団の…

図書館の「福袋」と「本棚」

お~!!いいな~~一週間前、図書館の明るいニュースに気分がはなやいだ。 * * * お正月明けの図書館でずらり並ぶ「本の福袋」!10年前、金沢市の玉川図書館から始まった名物企画だ。 今では、金沢海みらい図書館と泉野図書館、市内三つの図書館が同時開…

10年を想う

10周年の「この10年を一言でまとめると~」の特別お題にのっかって、つい簡単にまとめてしまったけれど、10年の日々を振り返ってみると、すんなりまとめられるものではないな~と、つくづく、、、しみじみ、、、思う。 2011年3月、10年前のあの日、ちょうど…

開かれている窓に乾杯!

はてなブログ10周年特別お題「はてなブロガーに10の質問」にチャレンジしました。「小さな図書館のものがたり」について知っていただく機会になればと。 ブログ名もしくはハンドルネームの由来は? 図書館での出会い、本や人やできごとを伝えたくて、2001年…

(その六)~つながった電話~

おもいがけない嬉しいことって? ブログを読んだ友人からきかれました。そうなんです、信じられないようなうれしいこと! * * * 賢治の読書会の前日のことです。それまでに三、四回、電話をしたけれど、呼び出し音ばかり。ほとんどあきらめ気分で、これで…

宮沢賢治の世界に浸った一週間

おもいがけない嬉しいできごとがあって、一週間前の秋晴れの日、久々にeccoの赤い靴を履いてルンルン気分で、読書会《宮沢賢治を読むつどい》へ。細川律子さんを囲んで8人です。 いつものように、みんなで「星めぐり」の歌をうたい、『注文の多い料理店』の…

(その四)~光の中を歩む子ら②~

『光の中を歩む子ら』の《手をつなぐ子供たち》に、友人から招待されて出かけた温泉場でのエピソードがある。 「先生、ここのはけ口で小便していい?」「こんな所で無作法です。便所へ行ってきなさい」 幸男は裸のまま便所へ行ったのだが、このやりとりがた…

明日は選挙に行こう!

(その2)に続く(その3)を書こうとして、図書館書庫に眠る本を借りてきて読みなおしていると、昭和23年、著者が二人の少年を伴い、ある代議士の斡旋で、国務大臣に面接するくだりに目がとまった。 昭和33年発行、昭和42年に再版された一冊、《鐘の鳴る丘 …

「100年のアトリエ」より

図書館の広々~したへやに六人、離ればなれの座席、みんなの声に耳を澄ませながら、図書館での久々の読書会「詩をたのしむ」。(先月、先々月はスウさんの紅茶で読書会)昨日も、心揺さぶるステキな詩たちに出逢いました。 まど・みちおさんの詩もありました…

手帳の色

ある方のブログに、来年用に見つけられたという素敵な手帳のことが書かれていた。一年間を共にするのですから、気に入ったものを選びたいですね。 * * *現在、私が使っている手帳は9㎝×17.5㎝。昨年の12月28日のブログに書いた図書館の年末のイベント《い…

《雑木林のパンやさん》のものがたり

章子さんは魔女さん!もちろん、素敵な魔女さん。 息子さんのマー君とのこと、これまでのこと、いつか書こうと思ってるって伺っていたので、いつかな~と心待ちにしていたら、とつぜんマー君が旅立たれ、どんなに驚いたことか。 そして、その日から一ヵ月た…

《でえげっさあ》の歌

9月9日の夕方だった。ふとテレビ(HAB)のスイッチを入れたら、地元のフォークグループ《でえげっさあ》のメンバーの川崎正美さん(66歳)! 小学校の教師として教壇に立つ傍ら、コンサート活動を続けてこられた。 「でえげっさあ」とは白山麓の方言で、「ど…

『山下すて短歌抄』に魅了されて

久しぶりに手にした、『山下すて短歌抄』しみじみ心に響きます。 ・・・・・・ 虫干しの着物の袖に大吉のみくじ小さくたたまれてあり 補聴器の使い始めの外出に傘にふる雪こまかな音す 巣燕がふらんす語にて喋りいる今日も楽しくやろうと思う 女の神がおはじ…

島々を回った図書館船

きもちが洗われるような、とってもステキなことが書いてあったのよ! 友人が知らせてくれたのは、朝日新聞「天声人語」(2021.7.17)の「ひまわり」のこと。 * * * 《桟橋に名曲「ドナウ川のさざなみ」が響くと、小学生らが駆け寄る。船内で本を選べるの…

紫蘇の香り

「ピンポ~ン」 朝6時半の訪問者は? ドアを開けると!マスク姿のFさんがにこにこしながら、大きなビニール袋を手に立っていた。袋の中には、畑で刈り取ってきたばかりのいい香りの赤紫蘇がいっぱい。 *** その前日、とあるスーパーで、梅干しを買った。…

《魂の番》

ずいぶん前のこと、洗面鏡台の扉の調整をしていた若者が、「チョウバンのネジが…」と言うのを耳にして、「あれ?チョウツガイなのに…」と気になったことがあった。 でも、もともとは、「蝶番」(ちょうつがい)だが、いつしか当て字の「丁番」(ちょうばん)…

52ヘルツの声

もう何人かの人は回し読みしたらしい。昨日、ママ(町のテニス仲間からは、昔からこう呼ばれている)なら、一晩で読める!軽いよ!と、テニスコートで手にしたのは、今年度の本屋大賞第一位に選ばれた一冊、 『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/2020.4.25…

文字は…光に

柳田邦男さんが次に訪ねた方は、第37回(2002年)に最優秀に選ばれた藤野高明さん、82歳。藤野さんの想像を絶する努力と忍耐、、、に衝撃を受けました。 「継続は力」「文字の獲得は光の獲得でした」 手記にあるこの言葉には、生きる希望と喜びが凝縮されて…

旧津幡町立図書館の記録「ひと言・人・こと」はこちらです。